これまでの記事で、理系から文系に転身する方が多いことを説明し、技術者の転身で失敗しないように注意していくべきことを項目ごとに説明していっています。今回の記事もその続きで、色々な項目について記載します。
〇冷静なことが多い
技術者は、ハードウエア設計であれソフトウエア設計であれ、多くの回路設計をしたり沢山のプログラムを組んだりしていきます。これらは、どこか一つにミスがあっただけで動かなかったり異常な動作をします。ゆえに、慎重に慎重に設計していくことが大切です。ですから、常に冷静にして自分の気持ちを自制し、仕事をしていくようにコントロールしています。ところが、営業職や事務職で行くと、必ずしもそれでうまく行くわけではありません。取引先との交渉では、熱い気持ちで説明した方が気持ちが伝わって成功するかもしれません。冗談を沢山言って盛り上げた方が、周りの事務職の方と楽しく仕事が進むかもしれません。ですから、冷静なことが必ずしも良いわけではありません、もちろん、基本的には冷静に計算された仕事をすべきとは思いますが、事を成し遂げる場合にはそういった熱い気持ちが周りを動かす場合があるということです。ですので、常に冷静でいることを良しとせず、気持ちや感情をうまく仕事が運ぶように自在に使えるようにすることが望ましいです。
〇目的・目標を持ちたがる
技術者が開発・設計をする際には、色々な目的・目標を与えられることが多く有ります。例えば、ノートパソコンのバッテリーによる動作時間を伸ばすために、自分の回路の消費電力は30mW以下となるように設計するとか、スマートフォンのアプリケーションを開発するのにダウンロード時間を短くしないと通信費がかかるので、自分のソフトウエアのプログラム容量は10KB以下となるようにしないといけないとか、そういったことです。ですので、技術者は、仕事をする際に明確な目的・目標を与えられて行うことが多いです。一方、営業職や事務職では、仕事の一つ一つのにまで細かく目的や目標が設定されないことは少なくありません。また、仕事をしながら、目的や目標を構築していく場合もあります。例えば、取引先の部長が阪神タイガースのファンであるから、会話の最初はそこから始める(1時間の会議のうち、その話題で50分になることもある)こと。、また、事務職でデータ集計を行ってグラフにする場合に、とりあえず色々な角度で毎月データ集計を行うが、月次の定例会ではあまり使われていないようなこと。このような場合は、目的・目標はあまりはっきりしていません。ですが、前者で言うと、色々な雑談をしているうちに相手の考えや手の内が見える場合がありますし、後者で言うと、毎月データを提示しているうちに、誰かが何かに気づいたり発見する場合があったりします。このように、その場では一見意味が無いような仕事であっても、それが、道を切り開く重要な作業に繋がる場合もあるのです。ですので、技術者から転身した場合、全ての仕事に目的・目標を求めたりせずに、一度は見様見真似でしばらくやってみて、経験を積んでから仕事の要否や目的・目標を設定することをオススメします。
次回に続きます。