最近の企業と新入社員の問題

最近の日本の社会、特に教育という面では、しくみ、システムが成熟、安定、確立してきたように思います。もちろん、教育の現場では日々多くの問題が発生し、関係者の方はあちこちに奔走されてご苦労されていることでしょう。しかし、少子化ということで子供を大切にしようと社会全体が動いていますし、過去の問題が多く蓄積されてそれらを解決するアイディアが沢山に盛り込まれ、父兄や関係者の方々が子供たちを守るために色々な努力がなされています。

これにより、子供たちのまわりから危険が少なくなり、また、理不尽な納得できないことも少なくなってきて、安全で完成度の高いしくみの中で育つ確率が高くなっています。このことは、子供たちが論理的に育っていくという意味では良い環境と言えるでしょう。現場では色々な闇の部分もあるのでしょうが、少なくとも表向きには社会や企業のきれいなしくみやルールの中では上手に順応できる子供たちが増えてきます。現に、新入社員たちを見ていると、企業のしくみやルールについて疑問を投げかけたりすることは少なく、いかにうまく順応するかを考える人が増えたように思います。

ところで、教育現場が、子供たちを主役として子供たちがいかに快適に育つかを目的に作られている傾向があることに対し、企業は必ずしもそうではありません。企業の目的は、継続して利益を上げる経営を続けていくことであり、従業員満足はある意味その目的を達成するために必要な事項を備えている、という側面も大いにあります。ですから、学校→企業に生活の場面が変わると、そのあたりのギャップが以前よりも大きくなっているように思います。

また、企業を取り巻く環境は常に変化をしていますから、それに追従するために、各企業はビジネスの形をどんどん変えていきます(よほどのことが無い限り、そうしないと企業は淘汰されてしまうことが多いです)。ビジネスの形を変えるということは、企業のしくみやルールも変更しなければいけないのですが、そういったものは常に最新にマッチしたものが出来ていくわけではありません、しくみやルールは、実態として後追いになることが多く、常に矛盾を抱えていることが殆んどです。また、しくみやルールは、そこで生きている自分たちで変えていくことが重要になります。そこに居ない人は、どう変えてよいかもわからない場合が多く有ります。

こうなると、完成されたしくみやルールを与えられていた学校から、矛盾があるしくみやルールのある職場でそれを自分たちで良いものにしていく企業に、子供たちは生活の場を移すわけです。これを、いかに新入社員にわかってもらうのか、が最近の企業と新入社員のギャップであり問題かもしれません。

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