今の会社において、あなたが若手で、優秀で、一所懸命に仕事をし、優秀な成績を上げていたとしましょう。さらに、性格が真面目で愚直で一途であるとすれば、他の人よりも高い成果を上げているでしょう。次のリーダーや責任者に抜擢される可能性もあり、前途洋々といえるのではないでしょうか。
でも、そんなあなたであればこそ、あなた以外の仕事をあまりしない人、あるいは仕事はしているけれども成果を上げられない人には、イライラしたり、注意したり、あるいは陰で少し馬鹿にしたりしているかもしれません。特に、チームやプロジェクトを組んで仕事をしている場合に、仲間にあなたより劣る人が居れば、その気持ちは強くなる可能性があります。その人に強く言うことも多くなりがちです。
勿論それは、一般的な論理としては間違ってはいません。皆が全力を出し、出来ないことを出来るように努力し、最大限の経営貢献をしていくのが、サラリーマン/会社員としては大切なことです。ですが、あなたが若手のうちはそれでも成果を上げて認めてもらうことが出来ますが、出世すればするほど、部下が多くなればなるほど、大きい仕事で関連する人が増えれば増えるほど、そうはいかなくなります。
若いうち、部下が少ないうちは、あなたがこなした仕事がそのまま自分の成果になります。自分が頑張れば、成果を上げることが出来るのです。ところが、部下や関連者が増えて大きい仕事をするとそうはいきません。部下や関連者が30人いたとすると、30人のパフォーマンスの合計があなたの仕事の成果になります。あなたがどんなに優秀でも、1人で30人分の仕事をすることは出来ません。
ところで、どんな会社でも、優秀な人20%、普通の人60%、劣る人20%の構成になると言われています。優秀な人だけを集めたとしても、結局はこのような構成になると言われています。これが本当だとしたら、あなたが全員に優秀な人になれと叱咤激励したところで、それは決して叶わない夢ということになります。ですから、全員を優秀にするのではなく、優秀な人は優秀な力を100%発揮し、普通の人は普通の力を100%発揮し、劣る人は劣る力であっても100%発揮してもらうことが肝要なのです。決して、優秀なあなたと同じ成果を全員に求めたり、あるいは、叱咤激励してはいけません。
ですから、優秀で真面目な人は、出世すればするほど会社では力を抜いたほうが良いと思います。もちろん、部下や関連者に仕事を教えたり管理することも大切ですが、やりすぎて皆が嫌になってしまったら、かえって逆効果になってしまうからです。それよりは肩の力抜いて、それぞれの方がどうやったら気持ちよく仕事をして、あなたのためにパフォーマンスを上げようと思ってくれるのか、そちらも考えてみませんか。良きリーダー、良きマネージャー、良き経営者をめざしましょう。