それでは、AIができない仕事というのはどういう仕事でしょう。
まずは、自ら情報そのものを作るということです。例えば、地球上の生物の90%が未発見という研究発表がされたことがあるようですが、新しい生物を発見するとその情報は誰も持っていません。新しい生物を見つけてくるということは、AIには今のところ遠い仕事かもしれません。ただし、新しいと思われる生物の写真を撮ってそれをAIに見せると、それがこれまで発見された生物であるかどうかを調べることは得意でしょう
つまり、AIは新しい生物を発見しないけど、新しい生物であるかどうかの判断はできます。
次に、これまでAIがしていなかった判断業務です。例えば、あなたはお客様との商談に向かっているが、いまJR駅にいて事故で電車が止まっています。並列に走っている私鉄は人が殺到してなかなかホームに上がれない状態になっているようだ、JRから私鉄の駅は歩くのに少し遠いがタクシーが空いているかどうか分からない。こんな状態で、JRの駅にいるあなたがAIに問いかけても、現時点ではなかなか答えが見つからないでしょう。あなたはどのような手段をとりますか?私鉄に向かいますか?
でも実は、今日のお客様は家も近かったはずで、同じ様に困っているはず。お客様に電話して状況が同じなら、自分の会社の営業の車を呼び寄せて、同乗して雑談しながらゆっくり話しましょう、と私なら判断するかもしれません。このように、イレギュラーなケースで個人情報が絡むような判断は当面は、AIでは難しいと思います。
最後に感情・感覚・性格で判断する内容です。当社は今度、A社とB社いずれかと提携しないといけない、どちらもAIのデータによると五分五分だ、みたいな場合です。A社とB社のネットで分かる情報や営業マンからのデータに無い情報というのは、これは、両社の色々な人と会話をして感覚的につかまないとなりません。また、会社というのは、社長の意思一つでどうにでもなります。同業他社を買収して事業を伸ばすのか、将来性が無いので事業を売却するのか。こういうことは、社長の意思一つです。こうなると、両社の社長にお会いして、考え方や方針や経営に対する情熱などを聞いて総合的に判断するしかありません。そこには正しい回答などなく、総合的な感覚的判断が必要なのです。これは、AIより人間の意思で決める経営判断の方が優れているし、個性なのだと思います。
あなたの結婚相手をAIが世界中から探し出しできて、あなたとそのパートナー候補者が会ってみて、互いに強烈な運命を感じて間違いなくこの人と寄り添っていこう、というようになるところまでAIが来れば、上に書いたような仕事もAIがやった方が良いのかもしれまえせんが、もう少し先になりそうです。