あなたは、「信用スコア」という言葉をご存知でしょうか。ITの進化が激しい中国やアメリカでは、急速に普及しています。日本でも大手企業によってサービスが開始されており、ネット接続環境があれば私たちでも試すことが可能になっています。
信用スコアとは、決裁や取引などの消費者(個人)の行動履歴から、その人の信用度合いが数値化されて格付けされるものです。この信用スコアは、その人が金融機関からお金を借りる際の審査に用いられ、例えば、信用度合いが高い人は借入限度額が上がったり金利が優遇されるなど、数値に応じた恩恵を受けることが出来る仕組みになっています。
この基本的な仕組みは、いまの日本社会においても少なからず行われています。銀行からお金を借りようとしたりクレジットカードを作成しようとすると、銀行やクレジットカード会社が与信調査を行い、限度額などが設定されます。例えば、働いていない人と働いている人、勤続年数や年収などに基づいて、限度額が変わったりカードが作ったり作れなかったすることは多くの人がご存知でしょう。銀行やクレジット会社も、お金の貸し借りで利益を得ることによって経営をしているわけですから、貸したお金が返ってこないと利益を得るどころか損失となり破綻してしまいます。ですから、誰に幾らを貸すかというのは、ある意味、企業活動の重要なポイントになります。
ところが、信用スコアは、従来運営されていたものとは規模も影響も大きく変わる可能性があります。従来は、各銀行やクレジット会社が、主に与信調査のために使っており、それ以外に使われることはほぼありませんでした。ですが、中国で信用スコアの使われ方を見ると、就職や結婚にも影響するなど、個人の生活に大きな影響を及ぼすものになってきています。これは、インターネットの普及、ビッグデータの構築、AIによるデータ分析のそれぞれの技術が発展したことにより、世界中の個人データを収集→蓄積→分析を精度良く行えるようになって、実使用レベルに達したからでしょう。また、個人情報について、活用のルールやマナーも徐々に整備されてきたこと、あるいは、フェイスブックに代表されるように個人が身元を開示した状態で自ら世界に情報を発信される時代になってきたことで、情報活用にも一般の理解が得られ始めているのでしょう。
ですから、日本でも今後普及する可能性が高い信用スコアが、私たちにどのような影響をあたえるかということについて興味が沸いてきます。そこで、次回から、信用スコアについての考察を幾つかの観点に基づいて行っていきます。
次回に続きます。