前回に続き、企業における組織変更のポイント・注意点について書いていきます。組織変更は、色々なところに影響を与えるので、項目ごとに注意して見ていきます。今回が最後になります。
・組織名と名刺をリフレッシュ
組織変更は、経営効果を高めるために行いますが、組織の構成変更そのもの以外にも効果を高めることが出来るものがあります。それが、例えば組織名と名刺です。
組織変更では、組織の構成を変えることに目が行きがちです。これはその通りなのですが、実は組織名と言うのも大切です。というのも、経営者や組織長は、自分の組織を自分の思う通りに動かしたいものですが、メンバーは組織名から自分の仕事を定義して限定する傾向があるからです。例えば、AI事業部やRPA事業部といった名前にすれば、それぞれ、AIやRPAのことしかやらないというように事業部メンバーは思うでしょう。ところが、第一事業部や第二事業部とすれば、AIやRPA以外のことをやることに抵抗は少なくなるでしょう。ただし、範囲が明確では無くて発散する危険性もあります。
このように、組織の名前だけでメンバーは自分の仕事を決める傾向にあります。ですから、例え組織変更をしないとしても、組織名を変えるだけで経営効果が大きくなる場合もあります。
また、名刺も組織変更すれば、例え古い名刺が余っていても、新しい名刺に早く変更することを進めます。古い名刺のままだと、それをお客様にお渡しする時は、「まだ古い名刺なんです」「組織を変えても気持ちは変わりませんよね」みたいな挨拶にどうしてもなってしまいますし、それが潜在的に自分の暗示にもなってしまいます。
ですから、さっさと名刺を刷新して、「名刺が新しくなりました!」「この組織は、こういうために作られたんです!」と言わした方が良いのは明らかです。古い名刺が勿体ないなどと言わずに、さっさと新しい名刺に変えてしまいましょう。
・頻繁な組織変更は部下も周りも混乱する
経営者や組織長が新しくなった場合で、とりわけ内部昇格であれば、組織変更をやりたくなる傾向にあります。というのも、その組織に居ていたわけですから、その組織の良いところや悪いところが見えているわけです。そうなると、良いところや好きなところを伸ばし、悪いところや嫌いなところを減らしたり消そうとして、組織変更をしたくなります。
ところが、経営者や組織長が頻繁に変わる組織であれば、場合によっては毎年リーダーが変わることもあり、そうなると、しょっちゅう組織変更が行われる可能性もあります。それは、リーダーにとっては初めての変更かもしれませんが、メンバーにとっては「またかよ・・・」「せっかく今の組織に慣れてきたのに・・・」ということになってしまうこともあります。組織変更は、その組織に身を置く者にとっては慣れるのに時間がかかるものであり、負担もあるのです。
ですから、経営者や組織長は、これからの組織だけを考えるのではなく、これまでの組織変更も顧みて、連続する時間の中で組織をどうするかを考えるべきでしょう。
以上、組織変更のポイント・注意点について考えてきました。組織はそうそう頻繁に変更できるものでもありませんから、よく考えて行いましょう。