前回に続き、企業における組織変更のポイント・注意点について書いていきます。組織変更は、色々なところに影響を与えるので、項目ごとに注意して見ていきます。
・ベテラン社員を早めにサポート役に
組織変更する際には、定年が近くなってきたベテラン社員の処遇が悩みどころになります。特に、部長や課長といった役職に就いている方は、そのまま続けてもらうのか退いてもらうのかといった判断をせねばなりません。心情的には、定年まで頑張って欲しいというのもあるかもしれませんが、近い将来は退いてもらう必要があります。いつまでもいらっしゃるわけではないのです。
そうなると、定年まで頑張っていただいて、例えば急に居なくなると、残った者だけで問題無く仕事ができるとは限りません。これは、単に実務をこなせるかどうかというだけではなく、メンバーに気を配って組織を運営していくといったマネジメントをできるかどうかということも重要になります。
このようなことを考え合わせると、ベテラン社員が潔く退いてくれ、若手のサポートにまわることに同意してくれ、次にそのポジションに就く若手がベテラン社員の指導も受けながら頑張れるのであれば、世代交代を行った方が良いでしょう。その方が組織も活性化されますし、うまくバトンタッチができます。色々な人の意見も取り入れて判断しましょう。
なお、昨今は働き方改革により、定年延長を取り入れる企業も多くなっています。そうなると、ベテラン社員が勤務できる期間というのも今まで以上に長くなる可能性もあります。これは、これまでの日本の大きな企業では、あまり無かった経験になります。不用意に早く引退する必要もありませんし、元気だからといって体力と気力と感性が通用するとも限りません。このあたりは、試行錯誤していく必要もあるかもしれません。
・全員に意味をつける
組織変更というのは、メンバーにミッションや業務を再定義できるチャンスでもあります。経営的な目的があって行う訳ですから、例え、組織が変わらなかったり上司が変わらないメンバーが居たとしても、動機付けをすることができます。これを利用しない手はありません。
ですから、組織変更を行う際には、組織変更に該当する当事者だけでは無くて、その周りのメンバーにも説明し、彼らに期待することころを改めて要請しましょう。それは、彼らのミッションや業務が同じであっても変わるのでもあっても構いません。
例えば、部、課、係、メンバーといった階層を複数持った多くの組織の場合は、日頃、部長とメンバーがゆっくりと会話する機会というのは、あまりないでしょう。もちろん、部長が忙しいということもあるでしょうが、課長や係長をさしおいてメンバーと会話するというのも少し気が引けるところもあります。ですが、組織変更を行う場合などは、直接、全員と面談するというのは不自然ではありません。よって、こういうチャンスを逃さずに現場と会話するようにしましょう。
次回に続きます。