日本にはお正月を祝い、それに伴って色々な習慣を行うという文化が長く続いています。これは、欧米にはあまり無い文化です。クリスマスやハロウィーンなど、色々な欧米文化が取り入れられてメジャーになっているにもかかわらず、お正月という習慣は日本でしっかりと根付いており、いまでも日本人では一番大切な節目ではないでしょうか。今回は、このお正月(年末年始)が、日本人にとって大切に守られている理由を考えたいと思います。
・お正月の本来の意味
お正月の本来の意味は、その歳の豊穣を司る歳神様をお迎えして、お祝いする行事です。歳神様は、1年の一番初めにやってきて、その年が豊作になり、家族が元気で暮らせるように約束してくれる神様です。門松やしめ飾りは、歳神様を歓迎するための準備です。これが由来となって現在に通じている訳ですが、歳神様を1年の最初に大切にお迎えするという考えが、日本人の生活のリズムにマッチしているように思います。これを次以降に書きます。
・年末に区切りをつける
12月に入ると、師走の名前通りに皆が忙しくします。おそらく、殆んどの人が、お正月前までに仕事や家事などに一区切りをつけ、気持ちよく新年を迎えたいという気持ちになるのだと思います。これは、前項で書いた、お正月に歳神様を歓迎する状態にするということに通じているのでしょう。お正月には、日本全体がそういうことになります。24時間営業のコンビニエンスストアなど一部の例外はありますが、多くの会社はお休みになり、商店などはお正月営業モードになります。日本全体で、歳神様をお迎えるモードに入ります。
そのためには、自分だけがダラダラと今の生活を続けるわけにはなかなかいきません。皆と一緒に気持ち良いお正月を迎えるために、年末までに多くの区切りをつけるわけです。
これは、得てして同じ生活をダラダラと続けてしまう傾向がある日本人にとっては、区切りをつける良い機会です。仕事や家事などを改めて見つめなおし、面倒なのでしばらく手をつけずに放置していたこと、決断できずにダラダラと放置していたことなどを片付けようという気になります。前者の例で言うと、粗大ごみを処分するのを面倒だから放置していたけれども年末の機会に処分する、上司に言われていたけど急ぎじゃなかったので放置していた仕事をやってしまう、といったことです。後者の例で言うと、調子が悪くなったけど騙し騙し使っていた家電製品を思い切って買い替える、会社の古い書類をいつか必要になるかもと取っておいたものが邪魔になってきたので捨ててしまう、といったことです。
このように、新しい年を迎える前に、ダラダラと区切りがついていないものをつける。これによって、物理的に区切りがつくだけではなく、精神的にも区切りがつきます。素晴らしい習慣ではありませんか!
次回に続きます。