ネットワーク社会のプライバシー②

前回に引き続き、ネットワーク社会のプライバシーについて、考えていきます。

・先の2つの要因から起こること

前回、問題が起こる要因として、2つ挙げました。1つめは、個人の情報が蓄積され、分析技術が発展し、個人レベルの分析ができることになったこと。2つめは、ほとんどの人が自分専用の情報通信機器を持っているため、その情報端末機器のアクセス履歴を外から記憶しておけば、情報通信機器の使用者の多くのプライバシーを知ることができるということです。
つまり、買い物のように自発的に個人情報を送信して行動したものから、個人を特定されるつもりは無いのに自分専用の情報端末機器を使って行った行動が記録されたもの、この両方が第3者によって収集され、保存され、分析される可能性があるわけです。
いまや、個人がスマートフォンやパソコンを使っている時間はかなり多く、また多くのことに使っています。そこには、人によっては多くのプライバシーが含まれていることでしょう。つまり、先の2つの要因から起こることは、我々のプライバシーの多くがネット上に流出して、個人情報にリンクされることが、不思議ではなく自然だということです。

・個人の情報がネットに出るのはどんな場合?

個人の情報(個人情報、あるいはプライバシーになりうる情報)がネットに流れるパターンを考えてみたいと思います。
a)個人の情報を本人が自ら公開している場合
b)個人の情報を本人の意思にかかわらず公開された場合
他にもあると思いますが、通常発生するのはこの2つが多いと思います。そこで、次からその2つが具体的にどのような場合かを見てみます。

・個人の情報を本人が自ら公開している場合

個人の情報を本人が自ら公開している場合、それはプライバシーになりません。ただ、注意すべきは、本人が気づかすに公開してしまっている場合と、もう一つは、本人がそれだけでは問題ないと承知して公開していているのだけれども、この後に述べる本人の意思にかかわらず公開された情報とリンクされて予期せぬプライバシーの侵害をされてしまう場合の2つがあります。
前者の例ですが、最近のデジタル写真は撮影された時間や位置情報が記録される機能があります。これは、デジタル写真に詳しい人でなければ、一般の人にはなかなか気づきません。ですが、気づいていなくても、その写真をネットワークに公開したり、サーバーにアップロードすることで、それを公開したことになります。つまり、その位置情報=自宅の住所を自ら公開していることになるのです。ネットワークに自ら情報を発信する場合は最新の注意が必要です。
後者の例は、その情報だけなら、と公開したものです。ですが、そういった情報を集めたり分析している第3者が、本人の他の情報を集めたり、盗んだりすることによって多くの情報がリンクされ被害が増大していくわけです。ですから、例えば、信頼できるサイトにおいて、ネットショッピングをするためにどうしても個人の情報を入れないとならないなどの場合を除いて、個人の情報(個人情報、あるいはプライバシーになりうる情報)をネットワークに公開するのは注意するに越したことはありません。

次回に続きます。

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