前回に引き続き、事業部別組織と職能別組織のメリットとデメリットを検討していきます。項目は、順不同です。
・個人の成長
社員個人個人の成長という意味では、どうでしょうか。事業部別組織と職能別組織のそれぞれの特徴を探ってみます。
事業部別組織では、各事業部が利益を得るために、お客様はもちろん、部材の購入先、金融機関、システムなど、多くの方々と協業しながら事業を進めていきます。まさに、ビジネスそのものです。また、本来であれば社長が決裁しないといけない投資などについても、一定額の範囲であれば事業部に権限移譲されていることも多く有ります。つまり、各事業部が一つの会社のように判断してビジネスを進めていくことが出来るのです。そのため、ビジネスを志す者にとっては事業部別組織では多くのことが吸収できるでしょう。
一方、職能別組織では、その職能のプロとして専門性を高めることができます。各組織には、その職能のメンバーが集って日々関連する業務をこなすとともに、長期的にはあるべき姿・理想を求めて計画的に組織と個人を成長させていきます。
このように、事業部別組織と職能別組織にはそれぞれの特徴がありますから、その特徴にあった個人の成長が期待できます。逆に、その組織では望めない成長については、自ら、あるいは研修などで意識的に補完する必要があります。
・本社組織の役割
これまで、事業部別組織と職能別組織の特徴について検討してきましたが、いずれも会社に属する組織です。そして、どちらの組織も一般的には、それらをとりまとめる本社組織というのがあります。では、それぞれの組織について、本社組織が果たす枠割というのはどのようなものでしょうか。
事業部別組織では、各事業部が自分たちに与えられたリソースで事業を行います。そのため、大きな投資が出来ない、大きな問題が発生した時に十分な対応が出来ない、といった弱点があります。よって、本社組織は、その弱点を補うことが必要です。その事業が将来有望であれば、他の事業部で得た利益をそちらに回して、将来の会社を背負うものにしていかねばなりません。また、その事業で大きな問題が発生すれば、解決するためのリソースを提供するサポートが必要です。つまり、各事業部を長期的にも短期的にもサポートしていくことが、本社組織の役割です。
一方、職能別組織では、それぞれの職能組織が専門性を発揮する能力を高く持っていますが、一気通貫に事業を検討できないということが欠点になります。ですから、本社組織は、各職能別組織がその力を遺憾なく発揮できるように、事業戦略・方向を示してリードする必要があります。職能別組織をいかに使い切るか、それが、本社組織の大切な役割になります。
次回に続きます。