例えば、A君が、入社半年経った新入社員ということにしましょう。
A君も、スーツが似合うようになり電車通勤にも慣れて、傍から見ると随分サラリーマンっぽくなってきました。仕事では、全て一人で完結は出来ないものの、上司や同僚に教えてもらうことによりヨチヨチと作業は出来ます。ただ、問題が起こったりすると全然対応できませんし、問題が少し大きくなると、「これは私たちでやっておくから、A君はもう他のことをやっておいて。」といった感じで、戦力としてはあまり役になっていないように感じています。早く、仕事ができるようになりたい、頼られるようになりたい、と思っています。
特に、飲み会などで、係長には「A君、まだまだだなぁ、1人前になるのは10年はかかるよ」と言われ、課長には「くれぐれも俺には迷惑をかけないようにしろよ」と言われます。そして、部長は横で微笑んでいます。A君は、少し焦ってしまいます。もっと頑張らないと、自分はダメだと烙印を押されたりしないんだろうか?
このような場合、A君はどのような気持ちで仕事をしたら良いのでしょうか。また、何を頑張ったら良いのでしょう。私は、A君に対して、次のように考えればよいと思っています。
先ず、世の中は高齢化社会になっています。若い人は貴重です。係長や同僚は、新入社員に対して、「ようやく若い人が来たので、今までやらされていた雑用っぽい仕事を渡すことができる」「飲み会で説教できる相手ができた」といったようなことを思っているでしょう。課長の見方は少し変わっているかもしれません。「これまでの部下は、それなりに仕事が出来るようになったが、代わりにあまり言うことを聞かなくなった。新入社員は俺の言うことを聞いてくれたらよいなぁ。」というところでしょうか。最後に、部長ですが、おそらく「新入社員が来て、課長も係長も同僚も気持ちが新たになり、少し膠着していた職場の雰囲気が良くなって、それぞれが新しいことに挑戦する気持ちが出てくれば良いなぁ。A君も皆と上手くやって、焦らずに実力をつけていって欲しいな」という感じかと思っています。
つまり、A君が新入社員の時に望まれているのは、きっと、仕事をバリバリとこなすことではなく、職場に新しい空気を送り込んでくれることなのです。だから、明るく元気よく仕事をしていてくれれば、それだけで部長としては十分ですし、仕事はそのうち覚えるだろうくらいにしか思っていません。
だから、A君、あなたは高齢化社会でとても貴重な若い人であり、明るく元気にするだけで職場にはとても良い影響を与えているのです。ですから、貴重な存在である自分に自信をもって、元気に毎日を過ごしてもらえればと思います。