小学生や中学生の時は、学期の切れ目で席替えをするということが良くありました。先生が決めたり抽選で決めたりと方法は様々だったと思いますが、いずれにせよ、新しい席がどうなるかというのはワクワクしたものです。ところが、社会人になると様相は変わります。組織が変更されたり部屋のレイアウトが変更されない限りは、席替えをするということはあまりありません。また、席の位置も、役職や組織や経験などに応じてなんとなく決まっていくのが普通ではないでしょうか。会社員の座席の位置というのは、なんとなく決まることが多く、かつ環境変化が無いと替わらないことが多いと思います。
ところが、座席の位置は、実は仕事においてはとても重要なんです。というのも、横に座った人や前に座った人とは、必然的によく会話しますし仲良くなる傾向になります。お隣さんと仲が悪くなると、仕事をしている昼間はずっと居心地が悪くなりますからね。一方、席が離れていると、会話は少なくなりますし、多少喧嘩をしたところで自分の席に帰ってしまえば居心地は悪くなりません、このように、座席の位置というのは、人との関係を左右します。
これを利用して、組織長が席を決めるということが重要ではないかと私は思っています。例えば、新入社員が入ってきたときは、歳の近い若い先輩と若者を上手に教育できる中堅社員を近くに配置することにより、上手に教育することが期待できます。組織内の2つのチームをコラボさせて相乗効果を得ようとするのであれば、2つのチームの座席を隣り合わせにするだけで良い効果が生まれるかもしれません。組織内の複数のチームのリーダー同士が仲良くないのであれば、リーダー同士を隣に座らせることで、改善が図れることも多くあります。逆に、反組織メンバーを隣同士に座らせるとますます良くない方向に行くので、そこは遠ざけるようにしたほうが良いでしょう。
このように考えると、組織において座席の位置はとても重要であることが分かります。これを、慣習のままや現場がしたいようにやらせると、仕事の効率が下がることが懸念されます。また、仕事の内容や人間関係は常に変化していますから、少し前には組織にフィットした座席の位置であっても、今となっては逆効果になっているのもあるかもしれません。
こう考えると、組織長は組織のメンバーの様子や仕事の状況をよく見て、座席の位置を定期的に見直すことが良いと思います。私の経験上から言えば、3ヶ月に1回くらい席替えしても良いくらいです。最初はメンバーに面倒臭がられるかもしれませんが、慣れてきたら付き合ってくれるでしょう。組織長は、一度お試しください。