部下への仕事の配分方法③

前回の記事に引き続いて、部下への仕事の配分について考慮すべきことを考えてきます。項目別に順に検討します。今回が最後になります。

〇嫌いな仕事をさせる

通常、部下に仕事をさせるときは得意な仕事を与えることが基本です。そのほうが効率的に進みますし、本人のモチベーションもアップします。ところが、好きな仕事だけしていれば、本人の仕事の幅が広がりません。また、若いうちに与えられる作業に近い仕事であれば、それだけをやっていても成果は出ますが、仕事のレベルが上がってくると、他の仕事との関連が複雑になってくるので立ち行かなくなります。また、仕事の幅が狭いと人脈も広がらず、困ったときに立ち行かなくなります。これらを考え合わせると、部下が嫌いな仕事であっても本人のためにやらせるように努めるべきです。結果的には、その方が良くなることが多いです。
ただし、注意点が一つあります。若い社員であれば、嫌いな仕事もやる可能性が高いし、やってのける確率も高いと思います。しかし、歳を取ってくると、新しいことを覚えたりするのが難しくなり、それが原因で大きなストレスを抱えたり仕事が破綻する場合も出てきます。もちろん、会社生活が短ければ、新しい仕事を覚えたとしても貢献できる量は少なくなります。嫌いな仕事をさせる場合、ベテラン社員に対して行うかどうかは良く考えましょう。

〇何かの変化を与えてみる

組織を運営していると、部下の成長が止まったり、組織が硬直したりしてしまうことがあります。当然、組織長の方は、部下を指導したり新しい仕事を与えたりしますが、うまくいかないことも多いでしょう。また、組織そのものが硬直してしまうと、大きく体制変更をしないと改善することは無いかもしれませんが、組織としてのアウトプットがしばらく低下してしまう恐れがあります。
このような場合、仕事の配分の仕方に少し変化を与えてみることが思わぬ効果を出すことがあります。例えば、仕事のペアを少し変えてみるとか、同じ仕事でも担当領域を変えてみるとか、2人でやっていた仕事を3人でやってみるとかです。場合によっては、あまり深く考えなくても良いかもしれません。というのも、少しでも何らかの変化を与えた場合、意外に現場ではそれによる影響を受けたりするもので、良い影響が出たり悪い影響が出たりします。もし、悪い影響が出たとしても元に戻せばよいわけですし、良い影響が出ればラッキーというものです。仕事に少し余裕がある時などに、試してみれば良いでしょう。

〇ミスをさせてみる

ちょっと意外かもしれませんが、仕事の配分で、ミスをわざわざさせてみるというテクニックがあります。これについて説明します。
若くて優秀な社員は、数年も経つと一通りの仕事ができるようになり、自信が湧いてきます。そして、そうなると上司や周りの注意などを聞かずに、突っ走ってしまう場合があります。そのため、その部下に仕事を配分する時は、あまり失敗しない程度の低いものを渡すことになります。ですが、これが続くと、若くて優秀な社員は、自分が実力あると誤解したままで成長が止まってしまいます。
そこで、あえて、会社や組織として多少の失敗が許される仕事を与えるのです。これによって失敗することで、若くて優秀な社員は自分の至らぬところに気が付いて成長してくれる可能性がでてきます。

これで、本シリーズを終わります。いかがでしたでしょうか。仕事の配分についても色々と考慮するものがあることをご理解いただけたかと思います。皆様、色々と工夫してみてください。