前回の記事に引き続いて、部下への仕事の配分について考慮すべきことを考えてきます。項目別に順に検討します。
〇複数の人が仕事を出来るようにする
仕事の配分を考えるときに、前の項目で部下の経験を積ませて能力を伸長させることを書きましたが、これを更に踏み込むと、一つの仕事を複数の人ができるようにしておきたいものです。というのも、一度やった仕事というのは、自然にその次に同じ仕事が来た場合に同じ人がやることが多くなります。そのことが続いていくと、最終的には、その仕事はその人しかできなくなってしまいます。これが難しい仕事で、限られた人しかできないのであれば仕方ありませんが、そんなに難しい仕事ではないのにノウハウや人脈があるために他の人ができない、というのであれば、何かあった時にリカバーがきかなくなります。こういったことを考えて、同じ仕事であっても、違う人にやらせることも必要です。ある意味、リスク管理とも言えます。
〇部下の希望を叶える
あなたが優秀な部下をお持ちであれば、きっと色々な仕事をやりたいと思っているでしょう。また、多くの仕事をするよりも一つの仕事を突き詰めたい部下であれば、その仕事以外はあまりやりたくない傾向にあるでしょう。このように部下の希望というのは千差万別です。会社の立場から言えば、身勝手なことを言うなよ、ということになるのですが、現実はそううまくいきません。逆に、部下の希望を叶えることによってモチベーションが上がり、仕事のアウトプットが増えることも多々あります。ですから、我儘を聞くということではなく、会社にとってもメリットがある部下の希望であるのならば、それを叶えることは悪いことではありません。
〇好きに仕事をさせる
これは少し特殊な例ですが、部下に仕事を配分する時に、ある程度きっちりとした指示をするのではなく、「なんとなく効率が悪いみたいだから良くしてくれ」「全体のバランスが悪いからうまくやってくれ」みたいな仕事をさせるテクニックがあります。これって何となく指示になっていないようにも思えますが、どういう効果があるか説明します。
部下のほとんどは、言われた仕事をやります。逆にいうと、言われたこと以外の仕事をしない部下もたくさんいます。また、言われた仕事を必要最低限で終わらせる部下も多くいます。このようなことは、上司から見ると実態はよくわからないことも多いのですが、経験によって直感的にパフォーマンスがよろしくないことが分かります。ただ、これをひとつひとつの実務について調べて指示を出すというのは、組織長も階層が上がってくればくるほど難しくなります。
そこで、先ほど述べたように、実態を把握し分析すること、そして解決策を提示できる能力をもった部下が居るのであれば、対応策の提案をするようにぼんやりと指示します。これは意外に効果的になることが多く、組織長とは違った現場視点でのアイディアを出してきて、現場を改善したりできます。
仕事の配分において、組織としてやるべき具体的な仕事だけではなくて、具体的な仕事をレベル高く効率的にやらせる仕事、こういうのも作って配分してみてはいかがでしょう。
次回に続きます。