会社において、組織長が部下に仕事を指示して実行させるのは、基本的なしくみです。これを複数の単位と階層で行うことにより、それが積み重なって成果となります。組織長は、会社の方針や上位組織の役割を理解し、やるべきことを決めて、部下に指示せねばなりません。ところで、要求される仕事はたくさんありますが、部下の人数は限られていますし、能力にも限度があります。ですから、組織でできる仕事の質と量を把握し、やることを決定し、部下に配分せねばなりません。
ところで、部下に仕事を配分するというのは、実は重い仕事です。どんな人でも、何の仕事をするかは最も大きな関心事といえましょう。仕事を言う組織長と仕事を言われる部下では、その思いは大きく異なります。組織長は仕事を言ってしまえば後は管理するだけですが、部下はそこから長い仕事の日々が始まります。ですから、組織長は色々なことを考慮して注意して仕事を配分する必要があります。今回の記事では、仕事を配分するにあたっての注意事項を項目別に書いていきます。
〇現在の能力に応じて仕事配分する
部下には、部下それぞれに能力差があります。同じ分野の能力でも優劣があったり、分野によって得意不得意があります。もちろん、仕事の効率や労働可能時間なども、上司から見れば能力の一つになるでしょう。これら、部下の能力に応じて仕事を配分していくことが、最初に考えるべき基本事項です。やるべき仕事について、優先順位の高いものから、能力の高い部下より順に配分していけば、ミスが少なく早く完成する可能性が高くなります。
〇仕事の平準化
前項目の通り、仕事の能力に応じて仕事を配分していくと、仕事の量や質が一定の部下に偏りがちになります。これは、部下の間の不満を生むことになります。優秀な部下には重要な仕事が多く集まりがちなので、負荷が重くなって不満が発生しやすくなります。また、能力が劣る部下には、仕事があまり行かなかったり、簡単な作業的仕事が集まったりするので、こちらにも不満が発生しやすくなります。このような不満が発生すると、組織全体のパフォーマンスが低下しますので、仕事の配分においては平準化も考慮する必要があります。
〇部下に経験を積ませる
能力に準じて部下に仕事をやらせていると、組織としてパフォーマンスはその時点では高いですが、部下の能力はなかなか上がりません。そうなると、組織としてこなすべき仕事の質や量が変わったり、将来に人事異動があった場合に、なかなか対応ができなくなります。そのためには、将来の環境変化についていけるように、部下に経験を積ませて能力を伸長していかねばなりません。現在の仕事の状況を見ながら、能力が開発されるような仕事配分も行いましょう。
次回に続きます。