映画感想:ドラゴン怒りの鉄拳

ブルース・リーの代表作として有名なのは「燃えよドラゴン」ですが、ストーリー的に最も完成度が高いのは、「ドラゴン怒りの鉄拳」ではないかと思います。日清戦争・日露戦争で、日本が勝利した後の上海における物語であり、中国における歴史が考証されています。当時の中国と日本の力関係、ブルース・リーが恩師の死に不審を抱いてそれを暴いていく手法、柔道や日本刀との戦いなどの様々な相手との格闘方法、そして、最後は日本の力に屈するなど、見ごたえ十分な作品です。「燃えよドラゴン」は舞台が世界各国であり、ブルース・リーがあまり関与・出演しないところもたくさんありますし、それぞれの国や人物の考え方がバランスよく配置されている作品であり、一般的に見やすい映画になっています。ところが、「ドラゴン怒りの鉄拳」は舞台が上海であり、過去の中国人に根付く感情をしっかりと表現する作品になっていること、また、敵である日本という国にいかに復讐していくかという分かりやすいストーリーになっています。日本人の私たちから見ると少し複雑な気分になったりもしますが、巨大な闇の権力に向かっていくというストーリーそのものは日本人にも受け入れられやすいものであり、また、「燃えよドラゴン」で有名になったブルース・リーの作品ということで、抵抗感少なく見ることができました。

ブルース・リー自身が、香港で生まれてアメリカにわたり、色々と苦労をしながらも世界的なスターに上り詰めていきます。また、カンフー映画を撮影するということで、撮影も並行して身体を鍛えたりするなど、負担も多かったと推測されます。アメリカで東洋人が活躍するというのも当時はなかなか難しかったと思います。それでも、自国である中国のカンフーを題材として映画を撮り続けたというスピリッツが、なんとなくこの映画のストーリーにも表れているように感じてしまいます。

さて、「ドラゴン怒りの鉄拳」のストーリーですが、格闘家のブルース・リーが恩師の葬儀に参列するために上海に戻ります。そこで、恩師の死に不審を感じる中で、日本武術協会に嫌がらせを受けたことに対して道場に殴り込みをかけたり、逆に報復を受けたりといったストーリーが展開されます。警察に追われるほどの状態になったブルース・リーですが、遂には、恩師の死の暗幕が日本武術協会の者であることを突き止め、遂には恩師の復讐を遂げます。しかしながら、最後は日本という国から非難されることになり、銃弾に倒れるという結末を迎えることになります。

少し暗い感じが漂う作品でもありますが、なかなか見ごたえがある作品になっています。