映画感想:燃えよドラゴン

1973年に公開された、かの有名なブルース・リーのカンフー映画作品であり、世界的に大ヒットしました。「アチョー」という奇声を上げた戦い、ヌンチャクを振り回して多くの敵をなぎ倒す姿は、当時の若者や子供たちを虜にしました。ヌンチャクを買い求めて、あちらこちらを探し回った方も多かったのではないかと思います。

公開される同年の直前にブルーズ・リーは既に亡くなっており、それがまた、ヒットを大きくする要因になったのではないかと思います。ブルース・リーのカンフー主演映画は、4作+1作ありますが(1作は、クライマックスシーンのみが本人にて撮影された後に本人が無くなり、後年、別人によって完成された)、「燃えよドラゴン」は、1作を除けば最後の作品になります。それにもかかわらず、燃えよドラゴンは、日本では最初に公開された作品でした。

しかしながら、「燃えよドラゴン」が日本で最初に公開されたというのは、ブルースリー・作品としては良かったと私は思っいます。というのも、それまでの作品は、ローカル色が強かったり、日清戦争・日露戦争後の日本に占領された中国の悲哀などが描かれたりと、当時の日本としては受け入れられい要素が沢山ありました。それに対して、「燃えよドラゴン」では世界中から集まってくる格闘家トーナメントというストーリーであり、その中でもカンフーは東洋の神秘的な扱いをされています。世界の多くでヒットしたというのも頷ける作品です。日本では、最後に作成され最も洗練された作品が最初に公開されて大ヒット、そして、続編を観たいと思っても、既にブルース・リーは亡くなっているのでそれも叶わず、過去の作品を観るしか無かったわけです。一連のブルース・リーのブームが巻き起こったのは、こういうことでしょう。

さて、「燃えよドラゴン」は、世界の有名な格闘家に武術トーナメントの招待状が届き、様々な理由でそれに参加していくバックグラウンドから始まります。犯罪の内偵を依頼されたブルース・リーは、その先に妹の死の原因となった人物が居ることを知って、出場を決意します。そのほかにも、借金を返す必要があるもの、警察とトラブルになり逃げてきたものなど、多くの格闘家が集まります。

武術トーナメントは主催者のハンの島で開催されます。ですが、その目的は、ハンが世界中に麻薬を売って大儲けしようとするため、各格闘家を自分の仲間にするためのものでした。それぞれの目的が交錯する中で、武術トーナメントとブルース・リーの内偵を中心にストーリーが進んでいきます。

決して、ブルース・リーの格闘シーンだけを魅せるだけの作品だけではなく、世界の国の文化や環境の違い、各格闘家の人生観や思想の違い、そして格闘スタイルの違いなど、多くの楽しめる要素を持っています。カンフーとドラマの2面性を持っています。今観ても、色褪せない映画です。