便利な世の中だけど、宇宙は未だわからないことだらけ?(2/2)

前回の記事で、アインシュタインの相対性理論も、またすべて観測されていないということを書きました。どういうことかというと、それが身近に観測される現象ではなくて、大きな恒星や広い宇宙において初めて観測できるようなことが多いからです。かの有名な、ニュートンの万有引力の法則も、地球がリンゴを引っ張っているということだけではなく、それが、月や太陽など質量があるもの全てについて発生していることに気付いたというのが価値があるとされています。それは、気付いただけであり、これを証明するには、それから色々な手法で行われたのでしょう。

こう考えると、このような物理論を作るというのは、壮大な知的作業であると思います。身近に起こっていること、あるいは身近に起こっていないけれども推察や観察から、どういう原理で宇宙が動いているのかを考えていきます。観測によって直ちに証明できるものもあれば、今の科学技術では証明できないものもあるでしょう。つまり、検証できないものを理詰めだけで空想で考えていくことになります。また、理詰めをするにも数式などで表す必要がありますし、将来に科学技術が発展して観測できるようになれば、数式をもとにこのような観測ができるはずだという予言も行う必要があります。自分の死後何十年も経って、後世の物理学者がその正しさを証明していっているという点で、アインシュタインの素晴らしさがうかがい知れます。

また、物理論を考えている研究者や、それを観測によって証明しようとしている研究者の両方とも、忍耐強い性格でないと無理でしょう。前者で言えば、周りの研究者をすべて納得させるような理論を考え出さないといけないので、かなり周到な用意をする必要があります。少しでも論理矛盾があれば、すべてを覆される危険性もあります。熟慮に熟慮を重ねなければなりません。

一方、それを観測によって証明しようとする研究者も大変でしょう。まず、その物理論を正しく理解する必要があります。また、それを観測しようとすれば、いろいろな研究装置が必要でしょうから、それを手配する能力も要求されます。予算を獲得したり、調整をしたりなど、研究外のこともたくさんしなければなりません。研究者でありながら、起業家、プロジェクト推進者でなければならないのです。もちろん、同じように証明しようとしている研究者も他に居るでしょうから、1分でもライバルに負けてしまうと自分の名は残りません。シビアな世界です。

なお、アインシュタインの相対性理論ですが、彼の理論では説明できないものがあることも宇宙観測でされているようです。これからどんな物理学が生まれ、我々はどんなことがわかるのか、楽しみです。