前回の記事で、上司が部下に舐められるというのは、上司の指示を聞かなくても部下が困らないからだということを書きました、では、どのような対策を取ればよいのでしょうか。
上司がその部下に仕事上頼ってしまっているのであれば、どうしてもその部下には弱くなってしまいます。ですから、その依存関係を弱くすることが必要になってきます。そのためには、仕事上その部下が居なくても問題が無い、あるいは影響が少ない状態を作ることが大切です。そのためには、先ず、どんな仕事であっても1人の部下しかできない状態を減らしていきます。具体的には、2人の部下に2つの仕事をさせる場合に、1人の部下に1つの仕事ではなく、2人の部下がそれぞれ両方の仕事に絡むように設定します。あるいは、1人の部下が1つの仕事をしていても、定期的にジョブローテーションをします。これによって、どちらか1人の部下が仕事をしなくても、もう1人の部下に依頼することができるようになります。また、2人の部下が同じ仕事をできるようになると、優劣がわかるようになるので、上司としても介入しやすくなります。
また、その部下が会社に対する帰属意識が低く、いつ辞めるかわからない場合があります。こうなると、上司にとっては工数が減ってしまうので、痛手になってしまいます。この対策は、部下が会社を辞めた場合に備えて、次に自部署に入れる人材を用意しておくことです。社内的に異動してくれそうな人を探しておく、社外の人材の調査を始める、上司や周りの人にお願いしておくなどです。多くのマネージャーは、部下が減ってから慌てます。そうではなくて、常に部下を補充できる活動を続けておくことが大切になります。自分が責任をもって部署を運営するには、当然のことといえます。
あと、いくら自分が上司とはいえ、部下全員から嫌われたり、自分の上司や周りから非難されるようであれば、組織運営というのは出来ません。特に、理科系の上司、若くして出世した上司、まじめな上司というのは、論理や理屈を振りかざして、仕事を押し付けようとします。仕事をさせる正当性というのは、何とでも言うことができます。言い争いをすると、部下よりも上司が勝つに決まっています。上司が仕事の指示をする役割なのですから、当然です。こうなってしまうと、部下も周りも黙り込んでしまうだけになり、上司は論理的に勝ったと優越感に浸ることになりますが、部下は全く納得していません。その場でYESと言うかもしれませんが、実は言うことを聞かなかったり、周りにそれを漏らして上司に対する防御網を張り巡らせるかもしれません。こうなると、結局は上司は追い込まれることになります。
要は、組織運営のテクニック的に1人の部下に依存せずに自部署の仕事を回せるようにしておくこと。そして、上司だからと言って傍若無人なふるまいなどをせずに皆の気持ちを考えながら組織を運営することが大切になってきます。
今回のシリーズは、以上です。