前回に引き続き、昨今よく耳にするパワハラ/パワーハラスメントについて、その内容を確認していきます。主には、上司としての目線で考えていきます。
〇パワハラ6類型
パワハラの類型として、身体的な暴力、精神的なものである強迫や暴言、人間関係の切り離し、遂行できない過大な要求、程度の低いことを命じる過小な要求、私的な領域への侵害の6つが挙げられています。このそれぞれについて、次以降の項目で見ていきます。
〇身体的な暴力
叩く、殴る、蹴るといった身体的な暴力のことです。これらの分かりやすい暴力以外にも、胸倉をつかむ、タバコの火を近づける、ずっと立たせるなどは、パワハラに認定される可能性もあります。つまりは、身体に直接傷を負わせるような暴力ではなくても、身体に触れたり影響を与えたりするものは、注意する必要があるということです。通常の暴力とパワハラでいう暴力は、異なることがあることを認識しておきましょう。
〇精神的なものである強迫や暴言
会社を辞めろ、馬鹿、などど怒鳴ること。皆の前で叱る、他の会社メンバーも入れてメールで叱ることなどの行為。これらが、パワハラと認定される可能性があるということです。関西などでは、これくらいの言葉は普通じゃないの?という方もいらっしゃるかもしれませんが、いえいえ、全然ダメです。もちろん、仕事のミスや指導で部下に対して色々と指導することは必要ですが、それ以上のことを言って追い詰めたり、不必要に多人数が居る前で辱めたりといったことはダメだということです。
部下の指導とパワハラというのは、とても難しい判断です。部下を成長させるには、叱るということは有効なこともあります。ですが、見方を変えれば、部下が脅迫と感じたり暴言と感じるのであれば、例え上司が指導と思っていても、部下が嫌がらせととらえれば指導は成立せずに敵対することになってしまいます。部下を強く叱るだけの指導は、通用しないし許されない時代ということでしょう。
会社を辞めろというのは、指導する方としては辞めさせるつもりがなくて単にそれではやっていけないよという気付きの意味であったとしても、もう使えない時代です。また、皆の前で叱るというのも、本人に強く認識させるというのと、周りにも同じことが発生しないようにという思いが上司側にはあるかもしれません。ところが、これも、今や使うことができません。
こうなると、指導する上司がかなりスマートになる必要があります。本人に過ちを気付かせるということについて、論理的に分かりやすくプレッシャーをかけないように説明する。また、ほかの人にもそういうことが起きないように横展開する場合は、過ちを犯した人に余計なプレッシャーがかからないように、配慮しながら注意深く行うように説明するということです。
果たして、そんな優しい言い方で大丈夫なのか?と思われる上司の方もいらっしゃるかもしれません。実は、問題ありません。というのも、今の若い人たちは頭が良くてスマートなので、わかりやすく説明すればきっちりと理解できるのです。
次回に続きます。