一昔前の職場といえば、上司は絶対権力者であり、仕事においても宴席においても絶対権力者という傾向がありました。多少の乱暴なふるまいは仕方ないとされ、部下はそれにあわせて耐えていくものと考えられていました。また、つらい目にあっている部下も、いずれは自分が上司になって同じことをやるんだという思いを持つ人も多かった多数居たでしょう。
しかし、時代は変わりました。労働者が少なくなり、部下が優遇されるようになりました。働き方改革というのが、その代表的な例でしょう。また、最近の若い人は、幼いころから大切に育てられ、学校や社会で守られるように育ってきました。理不尽なことは認める必要がないと教えられ、間違ったしくみなどについては、保護者や先生が変えてくれました。パワーハラスメントどころか、先生や周りの大人のほうが気を遣っていたのではないかと思います。
つまり、今の会社は、パワハラをパワハラと思わずに育ってきた上司と、パワハラなんてもってのほかで変な上司は駆逐すべきと思う部下の組み合わせになっていると思います。つまりは、パワハラの問題が表面化しやすい時代かと思われます。特に、これまでパワハラが当然のもののように思ってきた上司側のほうが、過ちを犯しやすいと言えるでしょう。そこで、今回の記事では、上司の立場になってパワハラというものをよく確認していきたいと思います。また、同時に、部下の方も自衛の手段として、パワハラがどういうものなのかを確認していただく機会になればと思います。
〇概要
パワハラとは、「社会的な地位の強い者(政治家、会社社長、上司、役員、大学教授など)による自らの権力や立場を利用した嫌がらせ」と定義されています。つまり、会社でいうと、上司から部下に行われるものです。これは、同じ行為であっても、部下から上司にしてもパワハラにならず、上司から部下にするとパワハラになることが多いことを意味しています。最近は、若い人のほうが強かったりするので、なんとも理不尽のようには思いますが、定義されているものは仕方ありません。つまり、同僚や部下にされた嫌がらせを部下にやってみた、というのは、結果として「お互い様」にならないということです。
これは、あまり知られていないことですが、欧米では法制化されている国が多くあります。こういった国では、上司が嫌がらせではなく良かれと思ってやったことも、パワハラとして認定されてしまう場合があります。ですから、例えば海外に赴任しようとする人は、各国におけるパワハラがどのようのものであるかを調査して、海外の職場では法を犯さないといった注意が必要になってきます。
次回に続きます。