不安定な破壊と創造、そして死と生を選んだ生命⑦

前回の記事の続きです。今回が、本シリーズの最後になります。

〇会社組織の考え方:新入社員/キャリア社員で活性化する

私たちの身体のしくみとして、食べ物から新しい分子を取り込んで新しい細胞とし、古い細胞を捨てていくというシステムがあることを、以前の項目で説明しました。これは、会社組織の運営についてはどのように考えたら良いでしょうか。
私たち社員は、入社して経験年数が経ってくると、色々な仕事が出来るようになってきます。従って、組織では重宝され、その経験をもとに活躍することを期待されます。一方、経験が多く有るということは、得てして過去の成功体験を中心に仕事をするので、新しい環境変化に上手に対応できないこともしばしばあります。特に、年齢が上がってくると、変化対応することが難しい人が多く出てくることも事実です。このような場合は、社員を配置転換したり、あるいは、年齢が一定以上になると定年退職を行て新入社員/キャリア社員を採用することで、新しい環境変化に対応できる可能性が高い配置をすることになります。
ところで、既にその組織に居る人は、新入社員/キャリア社員が入ってくると、その組織でのやり方や風土に馴染ませようとする傾向があります。これは、環境変化に対応するという意味では逆効果になります。ですから、組織の長たる人は、新入社員/キャリア社員が入ってくる際には、彼らに期待することを明確にし、新しい変化をもたらしたい時にはそれが出来るような工夫を行う必要があります。例えば、古い仕事を担当させずに新しい仕事のみを担当させる、新入社員/キャリア社員に色々と古い習慣を教えようとする社員を遠ざけておくなどです。

〇会社組織の考え方:子会社を作る

新しいビジネスを始めようとした場合、既存の組織の中では難しい場合が多く有ります。しくみが古いビジネスに対応したものになっており新しいビジネスにはふさわしくない、人材が古いビジネスのために集めた社員であり新しいビジネスに対応できないなどが、その例です。そうなると、今の会社で新しいビジネスをするよりは、新しい会社を作った方がやりやすくなります。この場合によく取る手としては、子会社を興すということが有ります。これは、あたかも、私たちが新しい環境変化に対応する非連続な手段として、子供を作るということに似ています。新たな個体を作った方が、環境変化に対応しやすいのです。
もし大企業であれば、そこに働く人は安住を求めていることが多く、子会社に移るということは望まないことが多いかもしれません。でも、それこそ新しいビジネスにそぐわないことを示しています。子会社に移ってでも新しいビジネスをやってみようとする気概のある社員で構成し、そこで新しい環境に挑戦する、それが成功への秘訣かもしれません。

以上、私たちの身体のしくみや生と死の理由などを、福岡伸一さんの書籍などを参考にして自分なりに理解し、それを個人の生き方や組織の在り方などに適用してみました。私たちの身体のしくみは、永年培われて実績があるシステムです。色々なことに参考になると思っています。これで、本シリーズを終わります。