不安定な破壊と創造、そして死と生を選んだ生命⑤

前回の記事の続きです。

〇一つの個体としての生き方:子供を作る/育てる

子供を作るというしくみは、非連続な変化を行うことによって、より環境変化に対応した個体をつくるということであることを書きました。こう考えると、恋愛、結婚、出産などの一連行為についても考察が深まってきます。
恋愛というのは、子孫を残すパートナーを探す行為になります。ということは、子供を産んで育てることが出来る環境を作れる相手であり、かつ、新しい環境に対応した個体を作れる遺伝子を持った相手ということになります。そうなると、まず前者は、経済力が有ったり家庭的であったりという生活が安定する相手を選ぶことが優先されます。また、好きな相手であるあらこそ、長く生活をすることが可能と判断できます。このあたりは、子供を作る作らないにしても、どちらでもほぼ同じ条件になるでしょう。ところで、後者については、なかなか明確に考えている方は少ないかもしれません。身体が丈夫であること、容姿端麗であるということは、子供に望む基本条件ですから共通であるにしても、学力、技能、技術、洞察力、感受性など、何を優先して何を避けるかというのは、明確に考えている方というのは少ないかもしれません。もし、これから子供を作れる可能性のある方は、そこを考えてパートナーを選ぶのも良いかもしれません。
結婚というのは、多くの組み合わせで安定して子供を作って育てる環境を作る社会的システムと言えます。これが無ければ、限られたある力の強い男のみが子孫を残す可能性があり、多様性が少なくなります。こうなると、人類としての存続の可能性が低くなります。一つの優れた個体のみを優先するのではなく、多様性を持ちながら変化対応力を広げていくことが出来ます。
最後に、出産です。先進国を中心に多くの国で、出産はめでたいことです。いかに文明科学が発展しようとも、一つの個体が生きれるのはせいぜい100年であり、やはり新しい個体を持って私たちの種族が永遠に生きていくことを、多くの人々が望んでいるということになります。
このように、恋愛、結婚、出産というのも、私たちの変化のしくみに対応したものであり、それを理解して人生のプロセスを歩んでいくというのも良いかもしれません。特に、生きる意味が分からない、結婚や出産に興味が無い、という方には参考になるかもしれません。

〇一つの個体としての生き方:人間社会を確認する

先の項目で、結婚について考えてみましたが、このように今回の記事シリーズで述べてきた私たちのしくみを考えてみると、この人間社会の今のしくみについて、色々と考察することができます。現代社会は複雑で色々なしくみが有って難しいのですが、どれか一つの個体だけが尊重されたり長生きしようとするのは、しくみにかなっていないように思います。また、今の時代の個体だけが優先され、将来の個体の環境を考えない行為というのも、誤りでしょう。このような、私たちのしくみと比べて、人間社会を確認するというのも良いことかもしれません。

次回に続きます。