前回に続き、部長ってどんな仕事をするべきで、どんなことに注意すれば良いのか、そんな「部長ってなに?」というのを考えていきます。
・実務は極力しないが、する場合もある
若くして部長になった人、あるいは、その職場に長く居て部長になった人は、自ら実務をしていることを見受けます。つまり、課長や係長やメンバーよりも実務能力が高いために、大切な仕事や重要な仕事については部下に任せることができず、自分でやってしまうのです。部下よりも自分の方が能力が高いので、その仕事については自分の方がアウトプットが高くだせるからでしょう。しかし、これは、あまり褒められたものではありません。限定的な場合と考えた方が良いです。
基本的に部長は、実務よりも高い上から俯瞰して、ビジネスや組織を考える役割です。考えることは山のようにある中で、実務に没頭してしまうと、考える人が居なくなってしまいます。ビジネス環境は激しく変化していますから、常に誰かが全体を俯瞰しておく必要があります。ですから、部長が実務をするのは限定的にすべきであり、必要最小限にしておきましょう。では、部長が実務をしないといけない場合というのは、どんな時でしょうが。いくつかのケースを考えてみます。
まず、実務の中身が課長以下に知られてはいけない場合です。人事に関する作業や給与に関する業務などが、該当します。これらの実務を部下にやらせると、どうしても情報が漏洩してしまう可能性がありますので、部長自らが行うようにしましょう。人事や給与に関する以外のビジネスに関する実務などにおいても、情報漏洩が許されないものは部長自らが行うべきです。
次に、現場のメンバーの仕事のスキルが低くて成果を上げられない場合に、実務をやってみせて教える場合が挙げられます。情報の処理の方法、資料の作成の方法、ビジネスキーマンの説得の方法など、実際にやって見せて理解させた方が圧倒的に速い場合も多くあります。特に、最近の新入社員や若い社員は、自分で考えることが苦手で、逆に教えてもらった方が吸収して速く自分のモノにする場合ケースが多く有ります。ただ、これは、勉強させるために必要最低限のことをやるべきです。困っている部分の真に問題となる一部分のみで片付けば、それに越したことはありません。
また、上記とは別に、部長も実務が出来る、だから手を抜いた仕事をしてもばれる、あるいはもっと上達しないと部長を抜けない、といったことを示すために実務をしてみせる必要がある場合もあります。これは、部下を統制したり、部下の実力を上げるために有効な場合があります。この場合は、一つの仕事を仕上げ切って、それを見せた方が説得力がある場合もあります。部下に頼らずとも、いざとなれば自分一人で出来るというのを示すことは、弱みを見せないことに繋がります。
このように、実務は極力しない方が良いですが、場合によってはした方が良い場合もあり、臨機応変にやっていきましょう。
次回に続きます。