役職:部長ってなに?⑤

前回に続き、部長ってどんな仕事をするべきで、どんなことに注意すれば良いのか、そんな「部長ってなに?」というのを考えていきます。

・部署がうまく動いていない本質を探る

会社の方針から自部署の方針を決め、予算を取って組織体制を作れば、部長としてはかなりの役目を終わったことになります。これで課長以下が業務をこなしていけば、原則として成果が上がっていくはずです。ところが、実際はなかなか、そうはいきません。思った以上に成果が出なかったり、自部署の中に不協和音が起こったりします。このことについて、部長は真因を探らねばなりません。
成果があがらない理由というのは、いろいろな場合があります。自部署の作った方針はハードルが高すぎて、いまの組織の能力では達成できないかもしれません。方針に沿って新しいことを進めることは可能だけれども、以前の仕事が残っているので工数が足りないのかもしれません。方針に沿った仕事をしようとしても、既存のルールやしくみが邪魔をして、進まないのかもしれません。課長と係長の仲が悪くなってしまい。業務を円滑に進めることができない職場になったのかもしれません。誰かメンバーの一人が組織に対して不満があり、他のメンバーを扇動して仕事をしないように仕向けているのかもしれません。客先の状況が変わったり、消費者のニーズが変わってしまうといった、環境変化が起こったのかもしれません。このように、成果が上がらない理由は色々と考えられます。また、理由は複数にまたがっている場合もありますし、人によって、理由が異なる場合もあります。調べている間に理由が変わっていく場合もあります。
このように、成果が上がらい理由を調べて突き止める、あるいは、分からない場合はその理由を仮定します。そして、それに基づいて対策を打つ必要があります。もちろん、現場に近い問題であれば、課長や係長でもわかるでしょうから、もう少し上からの目線で全体を俯瞰して、自部署だけではなく周辺の部署や取引先のことも考えます。そして、分かった理由、あるいは仮定した理由を解決する策を打ちます。理由が合っていれば、成果が良くなる方向に自部署は進むでしょうし、間違っていれば成果は上がりません。少し複雑なのは、その理由自体は合っているのだけれども、うまく行かない理由がもう一つあった、つまり複合要因であった場合です、ですから、うまく行かなかったとしても、単純に打ち手を否定するのではなく、色々な可能性を探ってみることが大切になります。
部署が上手く動かない理由と言うのは、複雑で流動的なことも多いので、あきらめることなく真因を突き止めるようにしましょう。

次回に続きます。