前回に続き、部長ってどんな仕事をするべきで、どんなことに注意すれば良いのか、そんな「部長ってなに?」というのを考えていきます。
・会社の方針から部署の方針をつくる
先にも述べた通り、部長は、やるべきことを考えて皆を誘導していくことが仕事です。そのためには、会社の方針を理解しないとならないことを、前回説明しました、ですが、会社の方針を理解するだけでは不十分であり、そこから自部門の方針をブレイクダウンして作る必要があります。
例えば、今年の会社の方針が、「選択と集中」だとしましょう。これは、つまり、会社の事業や製品やサービスの中で、儲かるもの将来性があるものを選んで資源を投入し、それを会社経営の中心にしていこうとするものです。ですが、例えば、人事部門に「選択と集中」と言われても、人事部門が会社の事業や製品やサービスを選ぶわけではありませんから、社員は困ってしまいます。おそらく、人事部門の社員は普段と変わらない仕事をすることになるでしょう。ですが、これでは、選択と集中の会社の方針に対応はできません。
事業を行っている部門が「選択と集中」をするということは、人員を減らす部門と増やす部門ができるということです。これに対応することが、人事部門には要求されます。いくら、事業部門が選択と集中をしたところで、人を思うように動かすことが出来ないのであれば、選択と集中した事業には人が集まらずに十分な仕事を行うことが出来ずに成果が限定的となり、止めたり縮小しようとした事業には人が残ったままで赤字が大きくなってしまいます。これにどのような方針で対応していくかが、人事部の部長の仕事になるわけです。
そうなると人事部の方針としては、「事業方向の見極めと迅速な対応」や「全社員スキルの明確化と社員スキル一覧表の作成」などのようなものになります。こうすることで、人事部門の社員は、会社方針からブレイクダウンされた自部門の方針を理解でき、具体的な仕事に落とし込むことが出来るわけです。
つまり、会社が方針としてやりたいことに対して、自部署がやるべきことを考え、それを方針として明示することになります。ですから、その方針を見て、社員が自分が何をやるべきかを想定できなければなりません。ぼんやりとしたイメージの方針を掲げたところで、かえって混乱してしまうだけです。
理想的な方針というのは、やりたいことを網羅した上位概念で表現されているということと、社員から例えば具体的にはどういうこと?と質問をされたら、Aさんは例えばこれとこれとこれ、Bさんは例えばこれとこれとこれ、Cさんは例えばこれとこれとこれ、といったことを具体的に提示することが出来れば、更に良いです。方針から各社員それぞれへの業務を具体的にブレイクダウンしてみせると、それを例に各社員が他にも自分の考えでもってブレイクダウンして、色々な業務を創造してくれる可能性があります。
作業を指示するのと、方針を示すのは、この業務の創造に違いがあります。作業を指示すれば、その作業しかしません。方針を示せば、社員のモチベーションが上がりさえすれば、自身で色々な工夫をしながら、やるべきことを自ら考えてやっていく可能性が高いのです。これによって、部としての成果は格段に上がることが期待できます。
次回に続きます。