前回の記事に続いて、若い社員が昭和社員に気に入ってもらい、味方になって色々助けてもらうにはどうしたら良いのか、昭和社員の特徴に注目して、その項目ごとに考えていきます。
・消費欲が旺盛
昭和社員と若い社員を比較すると、消費欲にも違いがあります。昭和社員の方が消費欲が高い傾向にあります。これも、育ってきた環境の違いでしょう。昭和社員の若い頃の夢はほぼ同じであり、男子は就職したら車を持つこと、結婚したら家を持つことでした。というのも、この2つがあって、はじめて一人前だと言えるような世間の風潮があったからです。昭和50年代ごろまでは、頑張って働けば、経済成長に乗って誰もが一定の収入を得られると考えられた時代ですし、個性よりも一般的な幸せが良しとされていました。
ところが、平成以降は変わってきます。バブルが崩壊したことにより、経済成長は必ずしも約束されたものでは無くなり、不動産神話も無くなりました。あまり使わない車を買うよりは、貯蓄に回した方が生活設計がやりやすくなりました。不動産を買っても、値下がりすれば借金が膨らむだけです。更に、少子化により、住む家が足りなくなるという不安も無くなってきました。このような環境から、平成以降は、消費欲が急激に落ちて、堅実な生活が好まれるようになってきました。また、均一的な人生よりも、個性が重んじられるようになりました。車や家を買わないといけないというプレッシャーが無くなったのです。
このような差から、昭和社員と若い社員では消費欲に違いがあると思われます。ですから、若い社員が昭和社員に対して、車や家を買うことには興味が無いと言うと、昭和社員に意外そうに見られたり、やる気が無いように思われたりします。これは、昭和社員が、自分の若いころと今の若い社員の境遇が同じであると勝手に思っているためであり、昭和社員の誤解と言えます。ただ、あまり消費欲が無いと、働く意思も弱ってくるというのはある意味正しいので、やる気が湧かないだろうな、という感覚は正しいかもしれません。若い社員は、欲しいものの為にあくせく働きたくないという風潮が確かにあるからです。
昭和社員が、欲しいものは無いの?と聞くときは、個人の趣味を聞きたいというよりは(そういうこともあるのですが)、働く動機を確認する意味が強いと思います。つまり、何かを消費するために働いていた若いころの自分と重ね合わせて、聞いているわけです。それに対して、若い社員が「特に欲しいものは無いです」「別に無理して買いたいモノなんてありません」と答えてしまえば、身も蓋もなくなってしまい、会話が続きません。そういうときの答え方としては、付き合いで適当に高価なあるものが欲しいことにして答えを合わせておくか、将来に備えて貯蓄を沢山しておきたいことにするか、働く意欲がお金の為では無くて色々なビジネス経験を積んだりノウハウを溜めたいとか、そういった回答が良いでしょう。
つまり、昭和社員の「何か買いたいものが無いの?」という問いは、「何のために働いているの?」という問いに置き換えて答えれば良いでしょう。
次回に続きます。