数字を作り上げる能力、読み込む能力

仕事をする上で数字は大切です。数字には、市場の規模や市場の占有率といった一般情報もあれば、売上や利益はもちろんP/LやB/Sといった自社の経営を表す数字もあります。サラリーマン/会社員をしていると、常にこれらの数字に囲まれて仕事をすることになります。これらの数字には、分かりやすいものもあれば、よく分からないものもあれば、互いに辻褄が合わないものが沢山あります。これらを読み解いて仕事を進めることが、役職が上がるにつれて多くなってきます。

ところで、我々が目にする数字というのは決して綺麗に出来ている訳ではありません。これは、数字を見る方から数字を作る方になって初めてわかります。

例えば、市場調査において、自社に必要な情報が綺麗に揃っているということは先ずありません。日本の調査データはあるけど中国の調査データは無いとか、アメリカの調査データはあるけど日本の調査データと調査方法が違うなど、なかなか同じ条件で調査データが揃っていることは少ないものです。このような場合、きっちりとしたデータが無いとダメなのかというとそうではありません。経営者がおおまかな判断をしたり、おおきな方針を出すという意味では、例えば完成度が70%であっても十分な時があります。このように、必要とする精度が低いのであれば、数字を作り上げていくことが可能です。

先の例で、市場調査において中国の調査データが無い場合というのを書きましたが、もし、ある製品において中国では3大メーカーでほぼシェアを80%占めているのであれば、その3社の状況を会社概況やネット情報で調べて合算すれば、事足りるかもしれません。また、集めた数字を12.5%アップすれば近い数字になるでしょう。これで、完成度はきっと70%を満足するでしょう。

また、アメリカの調査データが日本の調査データと調査方法が異なる場合があるという例を書きました。例えば、アメリカの調査データは2017年1月から12月、日本の調査データは2017年4月から2018年3月と期間がずれているかもしれません。この場合、その3ケ月のズレにおいて市場に特段の出来事が無いのであればそのまま使えばよいですし、何か起こっていたのであれば、ある程度の係数をかければ良いでしょう。このように、数字が無ければ作ったり、存在する数字を補正して作っていく、そのようにして数字を作り上げていくことが必要な場合もあります。

逆に、数字を読む方は、その数字を読み込む能力が必要です。出てきた数字の作られ方に注意を払い、常にその出所と算出方法を確認するようにしましょう。その出所と算出方法によっては、使う目的が限られる場合があります。また、定期的に更新される数字だと、更新時期によっては出所と算出方法が変わっている場合があります。数字を読み込み、前後の数字や関連する数字などから妥当性を判断して使い込むことが大切です。

仕事をする上で直面する様々な数字、我々はその数字を作り上げる能力、そして読み込む能力が必要であり、その能力があると仕事で有利になります。

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