前回に続き、企業における組織変更のポイント・注意点について書いていきます。組織変更は、色々なところに影響を与えるので、項目ごとに注意して見ていきます。
・方針を実現しやすい体制にする
組織変更をするのは、現場が仕事をやりやすくすることも大切ですが、やはり、経営者や組織長の方針を実現しやすい体制にすることが一番重要です。現場が仕事をやりやすくても、もともとの方針に沿ったアウトプットが出ないのであれば、経営効果を上げることは出来ません。従って、経営者や組織長が望む体制と、現場が仕事をやりやすい体制の折り合いをつけることが必要です。
そのためには、現場の都合や要請をきっちりと吸い上げ、それを十分に鑑みたうえで、経営者や組織長の方針を実現するにはどうしたら良いかを決める必要があります。要は、実態を把握したうえで、望みが実現できるようにするということです。この考えをもって、組織体制を決めるようにしましょう。
・新しい仕事をするには専任組織を作る
これまでなかった新しい商品を開発したりサービスを企画したりする場合、あなたは組織変更をするでしょうか、しないでしょうか。組織変更をするとしたら、どのような組織に変更しますか?
組織変更するのは、とても労力を使います。場合によっては、会社側と組合側の話し合いが必要なところもあるでしょうし、出費を伴う場合もあります。従って、保守的に行くのであれば、組織はそのままで、各部署が既存の商品やサービスに加えで、新しい商品やサービスの業務に取り組めばよい、という考え方もあります。ところが、私の経験上は、これはあまりうまくいきません。
というのも、既存の組織というのは、既存の仕事を持っています。そして、主力のメンバー、真面目なメンバーほど、他よりも多くの仕事をこなして会社を支えているものです。そのようなところに新しい仕事を並行して行うように指示したところで、手が回らないというのが実態でしょう。そうなると、新しい仕事がなかなか進まなくなります。つまり、既存の仕事と新しい仕事を一緒にさせると、既存の仕事が優先されてしまうものなのです。
これを打開するには、既存の仕事をする部署と新しい仕事をする部署を分けて組織化することが有効です。新しい仕事をするということは、どうしても既存の仕事をする人員や時間を減らす必要があります。これを、現場で判断して上手にやれよ、というのは経営者や組織長から現場への丸投げであり、責務を果たしていることにはなりません。経営者や組織長は、既存の仕事と新しい仕事を行う人員や時間のバランスを決定し、それぞれをやってもらう具体的な人を明確にし、きっちりと組織化をする、これが大切なのです。また、組織化をすることで、経営者や組織長の意思を明確に内外に示すことも可能になります。組織化をするのは、仕事の分担を決めるだけではなく、意思を明確に示す効果もあります。
次回に続きます。