ビジネス環境は、刻々と変化します。顧客が必要とするもの、ビジネスモデル、社会情勢など、様々に変化するため、企業はそれに追従、あるいは凌駕していかねばなりません。そのため、企業の組織やメンバーは、日々、その環境変化に対応するために活動しています。
ところが、ビジネス環境が大きく変化すると、企業の組織やメンバーは、通常活動では起こらない基本的な問題にぶつかります。それは、組織構成の問題です。
企業の組織は、現在のビジネスを行うもの、あるいは、現在予測できるビジネス環境変化に対応するために構成されています。そのための人員が準備され、ビジネスを行うための効果を出して効率的に運営できる構成を行うのです。ですから、ビジネス環境が大きく変化してしまうと、現在の組織構成では新しいビジネ課題に対応する部署が無かったり、現在の組織編成ではある部署の負荷が大きくなって別の部署の負荷が小さくなってしまうなどの問題が発生するのです。
そうなると、経営者や組織長は、組織変更を行わねばなりません。もちろん、外部ビジネス環境以外にも、企業の内部変化によっても組織変更を行わねばならない場合があります。キーマンの退職や離職、経営規模拡大や経営規模縮小に応じた人員変動、新システムの導入、駐在所の増設、などなどです。つまり、企業は、常に組織変更の必要性に迫られていると言っても過言ではありません。
ところが、組織変更は多くのことに影響を与えます。ビジネスへの影響はもちろんですが、組織に所属するものの働きやすさや給料、他組織や企業への影響など、さまざまです。ですから、良かれと思って行った組織変更が、思わぬところを悪影響を及ぼす場合もあり、注意が必要です。ですから、今回は、組織変更のポイント・注意点について考えていきます。
・目的を明確に(優先順位)
既に述べた通り、組織変更を行う必要性は色々とあります。大きく分けて、外部ビジネス環境への対応と内部変化に分かれるわけですが、それぞれにも多くの必要な項目があります。ところで、企業は、殆んどの場合は、業務遂行するについての十分な人材を確保できていません。これは、利益を考えた場合に固定費を一定以下に抑えないといけないことと、特に日本では働き手が不足していること、そして、分野によっては専門性を有する人材が不足していることによります。ですから、どのような組織構成をしようとも、全ての課題を解決することは不可能と言えます。
そのため、組織変更を行う場合は、目的を明確にする必要があります。といっても、目的が色々あるわけですから、もう少し踏み込んで、複数ある目的の優先順位も決める必要があります。例えば、短期的なビジネス成果と人勢育成の2つの目的があった場合、これらは矛盾することもあります。前者にはベテラン社員の配置、後者には若手登用が望ましい場合もあるからです。そのため、複数ある目的の優先順位を決める必要があるわけです。
次回に続きます。