インターネットで変わった消費世界④

前回に続き、インターネットビジネスのしくみとその成功要因を、我々にとって身近な一般消費世界の変化について書いていきます。今回も、これまでの消費世界とは異なった、新しく消費するもの自体が変わったものについて考えます。

・個人発信のコンテンツ

インターネットが普及する前の、消費されるコンテンツというのは、映画、テレビ番組。ラジオ番組と言った、企業や団体や教育機関などが作ったものがほとんどでした。これは、動画や静止画や音声を記録してデータ化して配信するといったそれぞれの工程が、一般の方にはなかなか手を出せない領域だったことにあります。
例えば、動画や静止画や音声の記録について、アナログデータ(ビデオテープ、ネガ、カセットテープ)として記録する方法はありましたが、デジタルデータとして記録する機器が一般に普及するのは最近になります。デジタルデータにならないと、インターネットでは共有が出来ないのです。そのため、コンテンツの提供者が制限されていたのです。
ところが、スマートフォンやデジタルカメラに高性能のカメラが実装され、大容量のメモリが搭載/供給されたことにより、誰もが個人でコンテンツを作成することが出来るようになりました。そして、高速インターネット回線によって、誰もが個人で作成したコンテンツを気軽に配信できるようになったのです。
いまや、殆んどの人がスマートフォンを持っており、その誰もがしょっちょうカメラを使って色々なものを記録しています。YouTuberといった、個人で動画を作成してサイトにアップし、収入を得る方たちも現れています。
つまり、デジタル技術とデジタル機器の進化によって、個人の多くがコンテンツを作成するつもりがなかったにも関わらず、スマートフォンにカメラが実装されたことで、誰もがコンテンツを作成できる環境に勝手に置かれたわけです。そして、動画を遊び心で記録したり、プライベートを意図して記録したり、事件や事故を記録したりすることで、個人のコンテンツが大量に生まれることになります。それらの多くは、他人に公開する意識はなかったと思われますが、インターネットにより他人に公開することが可能になり、そして、他人がそれを見るような環境が作られました。このことにより、大量の「個人発信のコンテンツ」が消費されることになったのです。
この「個人発信のコンテンツ」が消費されるようになった要因で面白いのは、多くの人が望んでいないにもかかわらず、メーカーが携帯電話やスマートフォンにデジタルカメラを実装したことにあると思います。押し付けでは無いですが、メーカー側が勝手に実装したものを一般の人が「せっかくある機能だから使ってみよう」となり、それがスタンダードになって、新しいコンテンツが生まれたことです。「個人発信のコンテンツ」が生まれた後は、それを消費させるようにプラットフォームを提供したりビジネスモデルを作成にトライする企業が多く表れてきます。
思わぬところから、新しい消費が生まれた例です。

次回に続きます。