企画部門はどんなところ?⑦

前回の記事の続きとして、若手社員からは華やかに見えがちな企画部門の仕事について、実態を探っていきます。項目ごとに考察・コメントしていきます。

・やりたいことができる部署か?

企画部門は、名前からすると色々な企画を立てる部門のように思えます。本当に、そうなのでしょうか? これについては、これまで述べた通りトップがやりたいことを実現していく部門です。ですから、トップの意思とは関係なく、自分がやりたいことを提案してそれが通していく、という部門ではありません。もちろん、商品企画やデザイン企画など、企業が提供していく製品を企画する専門職種の企画部門もあります。ですが、一般にトップに近い企画部門はそういうものではありません。トップがしたいことをどのように実現していくか、それを企画していく部門なのです。

・専門性はあるのか?

営業、開発、法務、経理、人事・・・。このような色々な職種の人たちの力が合わさって、会社の経営は成り立っています。特に最近の社会は複雑ですから、一つ一つの仕事が大変難しくなってきています。ですので、会社の仕事は細分化され、それぞれの仕事のレベルを上げるために専門性が高くなってきています。いまや、一人の人間が全ての仕事をこなして会社経営をするのは難しくなってきています。
では、企画部門の専門性というのは何でしょうか。経営者の意思を実現するために、ありとあらゆることを手掛ける企画部門は、ある意味、目に見えた専門性はありません。お客様のところに行って営業をするわけでもありませんし、技術力を持って商品やサービスを開発するわけでもありません。また、トップのように経営判断をするわけでもありません。
つまり、俗にいう専門性は無いと言えます。では、誰でも出来るのかというと、そうではありません。逆に、企画部門の仕事は難しくてハードであり、なかなかメンバーが固定されないというのが実情ではないでしょうか。そうなると、企画部門の専門性というのは、トップの意思を理解し、そこから実現のための具体的なプロセスを作りあげ、現場がやるように仕向けて、進捗管理する。すなわち、経営方針を実現する総合力を持っていること、それが企画部門の専門性だと思います。言い換えると、個別の業務や専門性にとらわれずに、広い視点で上下左右を見回し、本質を捉え、物事を進めることが出来る、そのような資質と行動力が専門性ではないでしょうか。
ただ、この専門性には少しリスクがあります。その能力は、殆んどが自社のトップと自社の組織・メンバーの為に発揮されます。つまり、違うトップや違う文化の会社では、通用しない場合や適用に時間がかかる場合があります。このあたりが、他の専門職種と違うところなので、転職やキャリアアップを指向している人には注意が必要です。

次回に続きます。

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