高齢単身世帯(一人暮らし)社会を考える②/5

前回に引き続き、今後ますます増えていくと思われる高齢単身世帯について、社会に起こる問題とそれに対する対応などを考えていきます。

・労働参加

高齢単身世帯といえども、全ての生活を社会保障で賄うというのでは、現役世代の負担がかなり増えてしまうことになります。この問題はすでに以前から言われていますが、今後も更に大きくなっていくでしょう。これについては、政府の働き方改革に従って、労働できる者は高齢者であっても働けるようにすることが必要になってきます。今の企業の働き方改革は、現役世代の業務を効率化して労働時間を増やさない、ということに終始している企業も少なくないと思います。これは、当面は有効とは思いますが、現役世代が定年で卒業し、新入社員があまり入ってこないことが続くと、いずれは破綻します。もちろん、AIやロボットや自動化に頼るという選択肢もありますが、技術の進歩や費用対効果を考えると、どこまで期待できるかは未知数です。あるいは、全ての労働に対応できるとも限りません。
そこで、各企業が高齢者の労働を受け入れるしくみやインフラが必要になってきます。定年を延長するのかしないのか、現役世代と同条件で働くのが難しいなら新しい雇用形態を作るのか、そういったこと検討をしていくべきでしょう。今や、70歳手前であっても現役世代に近い働きが出来る方はいくらでもいらっしゃいますし、いや経験が多い分だけトータルで業務能力は高いかもしれません。いずれ、各企業で優秀な高齢者を取り合う時代も来るかもしれません。

・社会保障

高齢者には、年金などの社会保障が用意されていますが、このあり方も微妙なハンドリングが必要になってくるでしょう。例えば、高齢者夫婦が二人で世帯を構成している場合は、住宅を含め生活に関する費用については共通化できるものもあり、その分は出費を抑えることは可能です。また、収入についてもお互い助け合うことも可能です。しかし、高齢単身世帯では、生活に関して共通化できるものが無いため費用も多くなりますし、収入の助け合いも行われません。つまり、高齢2人世帯1つと、高齢単身世帯2つでは、後者の方が費用もかかるし収入も不安定ということになります。そうなると、これまでと同じ社会保障を同じしくみで続けていくことは難しくなるでしょう。ですから、社会は高齢者が働ける仕組みをつくり、高齢単身世帯の本人は働く意欲を持って頑張って働き続けることが必要になってきます。日本の社会を成立させていくには、社会も個人も変わっていく必要があります。

次回に続きます。