あるニュースで見たのですが、遺伝子組み換えについて、学校や企業で全く教わっていないにもかかわらず、ネットで勉強してそれをやってのけた方が外国には居るそうです。このニュースには、結構、衝撃を受けてしまいました。
これまで、技術や技能やノウハウなどは、学校や企業である程度は囲いこまれており、試験をパスして授業料を払った学生にのみ公開されたり、企業内で完全に閉じられたりしていました。そのため、技術の進歩などは、クローズされた世界のみで行われ、ある日、世の中に発表されたりしていたわけです。ところが、インターネットの普及で情報のやり取りが早くなっただけではなく、公開される情報そのものも専門性やレベルが高いものになり、情報の速度とレベルがともに向上しています。また、自動翻訳の技術も高くなってきており、情報の壁は急速に取り払われています。私自身、情報システムの知識がそれほど高くは無く、ある程度の年齢になっていたにもかかわらず、インターネットで集めた情報と古本屋の専門誌だけで、本サイトのように、サーバーを立て、データベースを作成し、情報を皆様に公開することが出来るようになっているのも、レベルは低いですがそういうことでしょう。
このようなことが起こるようになると、当然、技術や技能やノウハウの世界も変わってくることが考えられます。まず、技術の基本的な部分を世界中で確認することができるため、技術が一番進んでいるところがどこにあるか分からなくなります。有名な大学や研究機関や企業の幾つかをマークしておけばよかったものが、インターネット上のどこに潜んでいるかを探し出す必要が出てきます。このような新興技術者を既存の集団は嫌うでしょうから、新興技術者同士のネットワーク/コミュニティであったり、このような新興技術者を利用して一儲けを企む集団たちのネットワーク/コミュニティが、台頭してくるのでしょう。これまでも、こういったネットワーク/コミュニティはありましたが、ごく一定のエリアや知人同士に限られていることが多かったようです。
そして、モノづくりやしくみづくりにおいても、世界中で新しいことを生み出すことが可能な世の中になってきています。ですから、これらも組み合わされて、どこのだれが考えたかわからない技術を、どの工場で作ったかわからない製品によって実現され、それを注文すると数日で自宅に届くというような現実が起こるのかもしれません。もちろん、命にかかわるものや安全が重要視されるものは、素性が知れた製品が重宝されると思いますが、趣味の品や嗜好品などはそうにはならないでしょう。
私たちの身の回りの物は、誰が考えて誰が作って誰が売っているのか、その実態の変化をよく見て行きたいと思います。