前回に続き、活動管理のための数値化について考えます。
このように考えると、色々なものが数値化できます。例えば、一般的に数値化しにくい部署・担当として、営業管理部門の売上集計担当者を考えます。売上集計担当者というのは、各営業担当、あるいは各営業所の売上や利益やその要因を集計するメンバーのことを言います。売上集計担当者というのは、本人が売上を上げたり利益を上げるのではありませんから、モチベーションを上げるのはなかなか難しいものです。また、売上や利益を集計しようと思っても、営業担当や各営業所が数値を提出してこなかったり、出てきた数値がおかしかったり、集計用のシステムに問題が有ってなかなか精度が上がらなかったりします。また、このような状態であれば集計に時間がかかるので、新しい管理数値を入れたくてもなかなか対応が出来ない場合もあります。しかしながら、売上や利益やそれに関する数値を精度よく集計して、経営者や活動者に提供することは重要なことですから、営業管理部門の売上集計担当者の活動そのものも管理してパフォーマンスを上げる必要があります。
では、営業管理部門の売上集計担当者の活動管理をする数値とはどのようなものがあるでしょうか。例えば、数値提出営業担当数(期日まで)、数値提出営業所数(期日まで)、集計数値報告を決算会議何日前に出したか、売上・利益以外の分析情報数、などが考えられます。最初の2つは、数値提出すべき人にきっちりと期限までに出させたかを管理するとともに、遅れた提出者に活動是正させる狙いがあります。その次の、集計数値報告を決算会議何日前に出したかは、なるべき早く出した方が経営者も活動者もデータを分析できるので、決算会議が有意義なものになっていきます。最後の売上・利益以外の分析情報数は、色々な切り口で情報を分析することによって経営への良いフィードバックが出来ることは言うまでもありません。このように、数値集計する部署であっても、その活動を管理するための数値化は十分に可能です。
ところで、数値化するといことは、それを皆で管理することになりますから、管理する方もされる方もその数値を良くするように動きます。そのため、数値を正しく出すことと、管理する数値を選ぶことが必要になります。
前者の数値を正しく出すことというのは、言うまでもありません。活動できていないものを活動できているような数値が出てしまうと、経営サイドは安心して時を過ごしますが、いつまでたっても現場で成果が表れません。また、活動出来ているのに、出来ていない数値を出すと、現場はやる気を失ってしまいます。このように数値を正しく出すということは重要です。一方、後者の管理する数値を選ぶということですが、例えば、営業担当者に相手先への訪問回数をKPIとした場合に、とにかく行けば良いということになり、雑談だけされて帰ってきては意味がありません。ですので、それだけを目安にするのではなくて、商談に必要な項目をいくつクリアしたかというものも合わせて見るなども必要かもしれません。また、取引先が、直接会うことよりも電子メールやSNSやシステムでのやり取りを重視するようになっているなら、この項目自体が意味がなくなるかもしれません。
このように活動管理するために数値化能力は必要ですが、それを正しく算出する事、ならびに正しい項目を選ぶことも同様に大切なのです。