取引先を動かすために⑧

前回に引き続き、自社(私たち)に有利なビジネス上の取引を行うために必要なことを項目ごとに順次検討していきます。

・交渉会談前に話を決めておく

これまで色々と交渉会談の話をしてきましたが、基本的には、交渉会談前には互いに事前に社内で根回ししておき、ある程度結論が見えている状態で交渉会談の主役たちに会話してもらうのが理想です。だいたい、互いの会社における組織内の根回しなしの状態では、かなりの上位職者を交渉に引っ張り出したとしても、話がうまく決まることは少ないでしょう。よく、若い人たちが、とにかく互いの会社の上位職者を出せばそれで話が決まると思って、ただ会談を設定する場合があります。それでも話がまとまることもありますが、それは、若い人以外の人が裏で調整したり、互いの会社の上位職者同士が旧知であって電話などで今回の交渉内容について事前に確認してあるなどといったことが多いです。交渉会談は、基本は事前に調整が終わっていないと成功しないと覚えておきましょう。

・1社とだけ仲良くしない

取引先を動かす/交渉会談を成功させるのに必要なことは、相手より有利になることです。相手より有利になる、すなわち強くなるにはどのようにすれば良いでしょうか。これには、色々な方法がありますが、基本の方法は、取引先を1社だけと仲良くしないことでしょう。
取引には、売る人と買う人が居ます。売る人は、買う人が複数いる方が強気になれます。買う人も、売る人が複数いる方が強気になれます。つまり、1社とだけ仲良くしていると、その会社に頼らざるを得なくなってしまうので、強気になれないということです。取引先は常に複数用意しておき、何かあればすぐに切り替えられるようにしておく、そういうことが重要です。

・ビジネスライクに付き合う

いくら取引先を複数用意しておいても、1社にだけ肩入れしているとその意味も半減してしまいます。もちろん、色々な会社とお付き合いしていく中で、親しい方が出来てくるのは当然です。しかしながら、特定のお付き合いをしてしまうと、やはりどうしても抜けきれなくなってしまうものです。親しくしていても、いざとなったらビジネスライクな付き合いとして取引を中止することもできる、そのような関係を続けていくことがビジネスの成功につながります。

・まとめ

これまで複数回にわたり、「取引先を動かすために」と題して、取引先のことを知り、取引先を動かすストーリーを作り、取引先との交渉をすすめていくことについて検討しました。ただ、相手と会ってその場で説得しようとしても、なかなか自社(私たち)の思い通りに行かないことは分かっていただけたかと思います。いろいろなことに思いを巡らせて、取引先を動かしていきましょう。