取引先を動かすために⑦

前回に引き続き、自社(私たち)に有利なビジネス上の取引を行うために必要なことを項目ごとに順次検討していきます。

・交渉会談を設定する名目

さて、交渉会談を設定する場合、その名目はひとひねりした方が良い場合もあります。これについて少し考えてみましょう。
例えば、自社(私たち)が取引先から商品を仕入れているとしましょう。自社(私たち)は経営が苦しければ、仕入れ価格を引き下げる交渉をするべきです。ところが、取引先も不必要に自社の利益を削る必要がありませんので、そう安々とは応じることができません。そんなことをしてしまえば、部下も同じようにしてしまうかもしれません。ですから、それだけで交渉会談を設定しても、本人が行って良いと思っていても行きにくいものです。
そこで、交渉会談の名目を、「現行商品の価格引き下げ」ではなくて、例えば「新商品の仕入れ計画の説明、ほか」とします。そうすると、取引先にとっては、「お、新商品の仕入れ計画を説明してくれるとは有り難い。俺たちのビジネスチャンスが広がるかも。そうなると、現行商品は多少価格引き下げしても良いかな。」となるかもしれません。このように、交渉会談の名目の設定一つで、交渉の成否が変わってしまう場合もありますので、色々なことに気を回して設定しましょう。

・社長と社長以外は全く違う

ところで、通常は、交渉相手として社長が出てくることはほとんどありません。逆に、社長というのはあまり交渉をしないように思います。社長以外の社員であれば、色々なことを考えてどうしようこうしようと悩むものですが、社長は常に経営判断を行っていますので即断即決をする傾向にあるので、あまり交渉には向いていません。また、社長は会社にとっての最終判断者なので、交渉中に間違った判断をしてしまうと引き返すことは難しくなります。こういったことから、社長はあまり交渉をしないと考えています。
にもかかわらず、もしも社長が交渉に出てくる場合があるとしたら、これはよっぽどのことだと考えた方が良いでしょう。会社の運命を左右する話になっている場合も多いかと思います。ですから、相手の社長が出来てきたときは、通常の社員に接するのと同様な交渉をしない方が手堅いと思います。自社(私たち)も、社長とまでは言いませんが、それ相当の交渉慣れしている社員を立てた方が良いと思います。元々設定した交渉名目とは全く異なる話題になることもあり得ます。万一、取引先が経営の危機に直面しており、そういったことを相談しに来ているのであれば、事態は一刻を争うかもしれません。ですので、そのようなことが想定されるのであれば、経験豊富な自社(私たち)の社員にそれとなく相談しておいた方が良いでしょう。

次回に続きます。

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