前回に引き続き、自社(私たち)に有利なビジネス上の取引を行うために必要なことを項目ごとに順次検討していきます。
・意思決定までのプロセスや関係者は誰か?
取引先の意思決定者をターゲットに交渉の戦略を立てることを、前回は書きました。ところで、意思決定者の役職がそんなに高くない場合はさておき、意思決定者が役員クラス以上の高い役職の場合は注意が必要です。というのも、その意思決定者に至るまでに、取引先社内で会議や合議のプロセスを踏んだり、関係者を説得する行為が必要になる場合が多いからです。もちろん、社長の鶴の一声で決まる、といったこともあり、トップ-トップの交渉にいきなり持っていくということもできなくはありませんが、それでは、取引先の担当窓口の顔をつぶすことにもなる場合もあります。ですので、重要で緊急の案件でなければ、正規のプロセスを経た方が良いでしょう。
こういう場合は、取引先内における社内調整を担当窓口に任せておいても、うまく行かない場合も多く有ります。ですから、定期的に担当窓口と会話して、今どのような状態にあるか、誰のところで行き詰っているか、その人が反対する理由は何かというのを聞き出して、それをサポートしてあげる必要があります。このような、細かいサポートをすることで、結果が早く出る可能性が高くなります。
・取引先を動かすストーリーは?
取引先の意思決定者がわかり、キーマンも分かり、プロセスや関係者も分かれば、どのようにして相手を説得するかということになります。つまり、交渉をする内容、すなわちストーリーです。言い方を変えると交渉戦略になります。
交渉戦略については、色々なことを満足する必要があります。特に、取引先が大きい企業だと関連部門も多いですから、その必要性も多くなります。自社(私たち)が協力して欲しい理由、取引先にもメリットがあるということ、商習慣や法律的にも妥当であること、などなど、どれかに死角があると、それを理由に断られる可能性もあります。ですから、いろいろなことを想定して、隙のない交渉戦略=ストーリーを考える必要があります。逆に言うと、相手と交渉を続けていく中で、こちらのストーリーに隙が無ければ、取引先はこちらの要求を聞くべきなのです。もしストーリーに隙があれば、自社(私たち)が引かざるを得ません。つまり、交渉戦略は単純なモノではなく、物語のように筋が通っていないといけないのです。なので、ストーリーを考える必要があるのです。
もちろん、交渉する時には、平身低頭お願いしたり、強気になって大きな声で要求したりすることも時によっては必要かもしれません、それであっても、ストーリーが無ければ相手は納得して言うことを聞きにくいものです。こういった、お願いスタイルや強気スタイルは、それ単独で使うのではなく、ストーリーの一部として使うべきでしょう。
次回に続きます。