前回に引き続き、自社(私たち)に有利なビジネス上の取引を行うために必要なことを項目ごとに順次検討していきます。
・取引先の状況は?
自社(私たち)の経営環境が刻々と変わっていくように、取引先の経営環境も刻々と変わっていきます。ライバル企業が業績を伸ばしているのかいないのか、それに対して影響を受けているのか。ライバル企業が新製品をリリースし、それに対して影響を受けているのか。ビジネスモデルが変わり、業界の地図が変わるのか変わらないのか。このように、取引先の経営環境が刻々と変わっている中、それに応じた提案が出来たり、それに応じたサポートを出るかどうかで、取引先とのビジネスにおいて自社(私たち)にプライオリティを置いてもらえるかも変わります。取引先と自社(私たち)は経営環境が近いと言えども、同じではありません。ですから、常に取引先が置かれているビジネス環境を理解して、それに応じた対応をすることが有利な取引をできる可能性を広げます。
・取引先の問題は?
取引先の方針や状況を知ることが大切であることを述べましたが、取引先の足元の問題を知っておくことも重要です。新製品の販売を始めたけれども思ったほど売れ行きが伸びずに在庫がだぶついているとか、営業本部長が変わって方針が変わり現場がとまどっているとか、原材料が高騰して製品原価を圧迫しているとか、こういった足元の問題です。これらの問題が起きている場合は、その問題を悪化させるような要請は聞き入れてくれる可能性が低いですし、逆に、その問題を良化させるような要請は意外にすんなりと合意されるかもしれません。取引先の足元の問題もなるべく頭に入れて、応対するようにしましょう。
・意思決定は誰がするのか?
色々な取引先の情報を入手したところで、取引先を動かすには不十分です。取引先が意思決定するしくみを知っておく必要があります。ここからしばらくは、取引先のしくみ、おもに意思決定されるしくみをしる大切さを考えます。
まず、意思決定を誰がするのかをおさえておくことが大切です。取引先の中において、今回のこちらの交渉内容を誰が意思決定をするかが分からないと、こちらの交渉戦略が有効になるかどうかが分かりません。この意思決定者というのは、内容やボリュームや製品やサービスによって変わります。
例えば、取引先から材料を購入している場合に、自社(私たち)が仕入れ価格を下げる交渉をする場合を想定しましょう。取引先の意思決定者が営業部門の場合、売上高が指標になることが多いので、仕入れ価格が下がっても数量が増えれば了解がとられるかもしれません。取引先の意思決定者が事業責任者であった場合、最も利益が上がる価格と数量のバランスで判断するかもしれません。マーケティング部門が価格を決めるのであれば、他社の価格との比較が重要かもしれません。このように、意思決定者によって判断基準が変わるので、こちらの作戦も変える必要があるのです。
次回に続きます。