取引先を動かすために③

前回に引き続き、自社(私たち)に有利なビジネス上の取引を行うために必要なことを項目ごとに順次検討していきます。

・取引先のキーマンは誰だ?

取引先が大企業、あるいはそれに準ずる企業であるならば、自社(私たち)の取引において多くの部署や責任者が関連するでしょう。営業、経理、技術、品質、法務などがその例です。もちろん、全ての部署が関係する訳ではありませんが、その時々において複数の部署が関係することがほとんどでしょう。特に取引の内容を変更するのであれば、関連者での会議をするかどうかはさておき、書類上の合議は行われると思います。
そうなると、自社(私たち)の取引を有利に行おうとすれば、関連する部署や責任者を説得する必要があります。ですが、彼らは私たちとは別の会社ですから、自社(私たち)が彼らを説得することはできません。あくまでも、取引先社内で合意してもらうしかありません。
そうなると、自社(私たち)の意を受けて、取引先の中で合意を勝ち取ってくれる取引先キーマンにお願いするしかありません。この、取引先キーマンを探し出してきて、その人にお願いすることがとても重要になります。
「そういうことが出来るのは社長だけだよ。」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。社長は全てのことを担当するわけには行きませんから、皆の意見を、特に信頼できるキーマンの意見を聞いて判断をしていきます。また、信頼できるキーマンというのは、必ずしも重役ではなくて、部長であるかもしれませんし、古株社員かもしれません。そういった人を見つけ出して、その人にターゲットを絞って交渉準備を進めていくことが大切になってきます。
このようなキーマンというのは、多くの情報を得るために必要に応じてあちこちに顔をだしますし、また困った時には色々な人に担ぎ出されて問題解決をしますので、割と出会うことができます。ただ、それを見抜いたり仲良くなったりするのは、私たちの実力です。ですから、取引先との打ち合わせで色々な方が出席される場合は、それぞれの人を良く眺めて、キーマンが居るかどうかを調べ、キーマンが居れば仲良くして人脈を作ることが大切です。

・取引先の方針は?

取引先と会話する時は、ついつい目先の限られたビジネスの話になりがちです。取引数量をどれだけにするとか、価格はどれくらいにするとか、そういった内容です。もちろん、それが目的ではあるのですが、それだけでは自社(私たち)に有利な取引を行うことは出来ません。なぜなら、その限られたビジネスの話であるならば、単にそのビジネスが得か損かということにしかならないわけです。
そんななか、取引先の方針をよく知っておくことが解決策をだしてくれることも良くあります。例えば、取引先から商材を購入する場合、取引先の方針で、A商品は撤退してB商品を拡販したいといったようなことが有るかもしれません。そんな場合、B商品の拡販を手伝ったり、別のB商品を必要とする客先を紹介することで、取引先にメリットが生じるかもしれません。そうなると、目先の自社(私たち)のビジネスについて便宜を図ってくれる可能性もあります。
取引先の方針を理解して、それに対応することでリターンを得るというのは有効なテクニックです。

次回に続きます。

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