取引先を動かすために①

・はじめに

ビジネスをしていると、自分、あるいは自分の会社だけで事業を行うということは先ずありません。自分でモノを作ったり、ソフトウエアを開発するにしても、サービスを提供するにしても、それを別の企業や団体や個人消費者に提供して対価を得るわけですから、お客様が存在します。また、モノを作るにしても材料を集めてくる必要がありますし、農業や漁業をするにしても道具を仕入れる必要があります。ソフトウエアの開発にあたっても、パソコンやソフト、場合によっては、エンジニアを雇い入れる必要もあります。サービスを提供するにしても、ファッションやツールなどが必要になるでしょう。
このように考えると、ビジネスをする上では、例え一人で開業するにしても多くの取引先と取引をすることになります。これが、企業、それも大企業になるほど数多くの取引先が存在します。材料企業、道具企業、そしてお客様と多くの取引先とお付き合いすることになります。さらに、今の社会では、分業が進んで各企業の分担領域が狭くなっているので、今後もこういった取引先が増える傾向にあります。
このような数多くの取引先と良好にお付き合いすることが、ビジネスを成功させるには重要です。良い材料と良い道具を手に入れ、自社で良い製品やサービスを生みだし、良いお客様に購入してもらう。このサイクルを回すことで、良いビジネスが継続されていきます。

・取引先との関係

ところで、常に良い取引先と良い関係が続くとは限りません。良い材料や道具を生み出す企業から材料や道具を購入したいと思っても。人気があれば、なかなかまわしてくれないかもしれませんし、まわしてくれるとしても高い値段でないと供給してくれないかもしれません。お客様も、必要とする製品やサービスが他にも多く有るのであれば、なにもこちらの希望の値段で買ってくれるとは限りません。また、現在、良好な取引をしている企業であっても、環境が変わったりライバルが現れたりすると、厳しい取引条件を要求してきたり場合によっては取引の停止をつきつけてくるかもしれません。特に、ビジネス環境が激しい昨今においては、このようなことが頻繁に起こっています。取引先との関係は常に変化します。ですから、取引先の状況と自社の状況を中止し、関係に影響がある場合は直ちに対策を取っていくことが必要になってきます。
ところで、1つの企業の中における部署間の関係と、自社と取引先との関係は似ているところもあり応用できるテクニックもありますが、根本的な違いがあります。それは、1つの企業では部署間の利害関係が違えども、社長というトップが居るので、目的や方針が同じなのです。また、結局は協力していかないと同じ企業として利益を上げられないのです。最後は仲間です。
ですが、取引先とは異なります。一般的には、どちらかの利益が上がればどちらかの利益が下がります。相手の経営状態が悪くても、こちらが相手の経営を助ける義務はありませんし、逆もまたしかりです。要は、所詮は他人なのです。互いが利益がある範囲で付き合う関係です。ですから、取引先との関係については、とても難しいものがあり、色々なことを考慮して付き合う必要があります。

次回に続きます。