人間追跡技術②

前回に引き続き、ハロウィーンで軽トラックを横転させた容疑者を警察が特定したというニュースに関連し、どのような技術で追跡したかを考察します。

AIによって、複数のカメラの動画を分析して容疑者がどのカメラに映っていて、どこへ行ったかを容易に追跡することを書きました。これは、通常で考えると自然な追跡ですが、場合によっては遡ることも可能です。というのも、複数のカメラの動画が長時間保存されていれば、それらすべてを逆に巻き戻すことにより、容疑者はどこから来たのだということも調べることが可能になるわけです。時間が後ろだけではなく前にも巻き戻せることができるというのは、追跡するうえでは有効な武器になると思います。

都会のように、防犯カメラが多くあるところは、このような追跡は容易でしょうけれども、都会から離れてくるとカメラも減ってきます。そうなると、防犯カメラでの追跡には限界がでてきます。どこにも防犯カメラがあるわけではないでしょうし、民間で自主的に防犯カメラを設置している場合は、動画提出の協力を得たり、そこから動画を抜き出したりなど、煩わしいことが多くなってきます。

こうなってくると、次は、一般のネット上にあふれているデータから、容疑者の特定を行っていく作業が有効かもしれません。複数の防犯カメラの動画をAIで検索することにより、色々な特徴が分かってくるでしょう。顔や身体的特徴、服、最寄り駅、乗る電車、一緒に居る友人、などなど。そういった色々なことを手掛かりに、ネットであらゆることを検索します。もし、容疑者の写真が、SNSなどのどこかでアップされていれば、AIの画像認識技術で見つけることが出来るでしょう。フェイズブックやツイッターなどでアップされていれば、個人の特定は可能です。会社や学校や地域のコミニュティーの共同写真からも見つけることは可能かもしれません。

もちろん、一般には公開されていませんが、警察は、色々な公共機関や協力を得られる企業や団体などから、情報を得ることも可能でしょう。これらの情報も最近は殆んどが電子化・システム化・ネットワーク化されていますから、検索は容易だと思われます。

このように、今や、データ、ネットワーク、AI技術などにより、人間の行動追跡と特定をする技術が飛躍的に向上しています。これは、日本だけではなく、海外、特に中国などでも技術が進んでいるとされています。ですから、羽目を外すのは国内でも海外でも、ほどほどで止めておいた方が良い時代になったと言えます。また、そんなに重大な事件ではなくても、大衆が集まっているところで皆に非難されるような行為をすると、世論によっては追及が厳しくなります。注意が必要です。