ネットワーク社会のプライバシー①

今回は、現在すでに大きな問題になりつつあるネットワーク社会のプライバシーについて、考えてみたいと思います。

・ネットワーク社会とは

ネットワーク社会とは、インターネットやその他の高度情報通信ネットワークを通じて、多様な情報や知識が情報通信機器を通じて世界的規模で入手されたり、発信されたり、共有されたり、利用されたりし、それらによって機能したり形成されたりする社会のことです。昔は夢の世界でしたが、今は社会の多くがリアルにそのようになってきています。

・プライバシーとは

プライバシーは、厳密に言うと個人情報とは異なります。個人情報とは、氏名、生年月日、住所などの特定の個人を識別できる情報です。一方、プライバシーとは、個人や身内の私事・私生活の秘密であり、その情報が自らコントロールできて他人に知られなかったり他人から干渉を受けなかったり侵害を受けない権利のことになります。今回考えるのはプライバシーなので、知られたくないことを知られないようにするということが議題です。

・どうして問題が起こるか?(要因1)

ネットワーク社会では、多くの情報がインターネットなどで飛び交うだけではなく、その情報を入手して、分析して、加工して、発信することができます。つまり、どの個人がどのクレジットカードで何を買ったか、例えば、恋愛小説、ジャニーズのCD、ホラー映画のDVD、洋服など、です。このように個人の情報を蓄積して分析することで、以前は個人の情報をまとめて総合的に消費者の動向を伺ったりしていたものが、年齢別や地域別といったように細かく分析がされるようになり、ひいては、その個人の消費動向がどうなるのかといったような分析にいたるわけです。また、最近は画像認識の技術も進んでいますから、どのような顔の人が好みなのかなどの分析もできてしまいます。つまり、個人のデータが蓄積され、分析技術が発展し、個人レベルの分析ができることになったのが、1つめの要因です。

・どうして問題が起こるか?(要因2)

ひと昔前は、家族にパソコンに1台とか、インターネットを使うのは電子メールという実態でしたが、今は違います。例えば、会社員で言えば、会社では仕事用パソコンと仕事用スマートフォンが支給され、自宅では自分用パソコンと自分用スマートフォンを持っています。つまり、個人専用の4台のネットワークにつながる情報通信機器を持っています。
このような例は極端にしても、高校生以上になるとほとんどの人が自分専用の情報通信機器を持っています。昔のように複数人が1台のPCを使うのではなく、今はほとんどの情報通信機器は1人の人が使います。そうなると、その情報端末機器のアクセス履歴を外から記憶しておけば、情報通信機器の使用者の多くのプライバシーを知ることができます。これが、問題が起こる2つ目の要因です。

次回に続きます。

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