「ロボコン」を観ながら

今年も、NHKで、アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテストが放映される時期になりました。すでに30回を越えるこのロボットコンテスト、毎年、競技内容が大きく変わります。ボールなどをゴールに入れる、箱などを積み上げるといった様々なルールが課せられます。学生ゆえの自由な発想が出るため、効率やスピードだけでなく、豪快、美しさ、楽しさなどにこだわったロボットも色々と出てくるため、勝敗以外にも観る楽しみが沢山あります。

第31回(2018年)は、ペットボトルをロボットから投げて、テーブルの上に立てるという競技でした。従来のボールをゴールに入れるという単に投げるだけではなく、ペットボトルを投げてそれをテーブルの上に立てるという、人間でも難しいルールです。地区大会の模様から観させてもらいましたが、色々なアイディア、こだわりポイントが随所に見られました。今年も、学生さんたちの熱意などがテレビ越しでも感じることができました。

ところで、ロボットといっても、完全自動のロボットもルールとして上がってきており、難易度は格段に上がっています。ロボットは、移動する、投げるという動作を行いますからフレームやギアやタイヤなどはもちろん、空圧装置まで数多くの機構技術を必要とします。また、センサーやモーターやマイコンなど、多くの電気電子部品を使いますから、電気制御や電子制御のあらゆる技術を必要とします。そして、更には自動ロボットということで、AIも含めたソフトウエア、プログラミング技術も必要になってきます。このように、工学のあらゆる技術を必要とするものになっています。

このように多くの技術が必要とするロボットですから、一人で出来るものではありません。特に、高速・高精度のロボットを作るには時間がかかりますから、多くの学生の力が必要となります。学生それぞれには、勉強、クラブ活動、プライベートなど色々な都合があるでしょうし、感情も揺れる多感な時期ですから、それらをまとめ上げていくのは大変なことでしょう。ロボットシステムを全て組み上げていくには、どのモジュールが欠けても完成には到達しません。そのためには全ての学生エンジニアのアウトプットを高いレベルでまとめることはもちろん、相互のモジュールがかみ合ってうまく機能するには、何度ものカットアンドトライを行う必要があります。そのようななか、ロボットシステムを作り上げるのは、技術以上に人をまとめることの方が難しいのではないでしょうか。

そのような人間ドラマが背後にあることを痛切に感じながら、アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテストをこれからも楽しみにしたいと思います。

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