事業部別組織と職能別組織(製品別/地域別組織と機能別組織)⑧

前回に引き続き、事業部別組織と職能別組織のメリットとデメリットを検討していきます。項目は、順不同です。

・内部競争

足の引っ張り合いは論外として、会社の中ではライバル同士が相手に負けないように腕を磨き、利益を上げていくというのは有効な手段です。経営者は、この内部競争を適度に仕掛けることで、成果を更に上げていくことが可能になります。それでは、事業部別組織と職能別組織では、どちらが内部競争をする環境を作りやすいのでしょうか。
事業部別組織では、事業部間での売り上げや利益の競争ができます。また、企画、開発、製造、営業といった同じ部署がそれぞれの事業部にあるので、部署間の競争もできることになります。このように、事業部別組織では、内部競争状態を作ることが容易です。
一方、機能別組織では、機能組織間の競争はなかなかできません。機能が違うので比較が出来ないからです。ですので、内部競争というと機能組織内の個人対個人のような競争になります。しかし、組織内では、競争意識以外にも共同体意識もありますので、なかなかうまくはいきません。組織長がよっぽど上手にコントロールするしかないでしょう。
このように、内部競争をうまく仕掛けて会社の業績を上げようとするテクニックは、職能別組織より事業部別組織の方が有効です。

・切磋琢磨

先ほどの項目では、内部競争について考えましたは、今回は、切磋琢磨について考えます。ちなみに、切磋琢磨とは、仲間同士互いに励ましあって向上するという意味です。従って、内部競争とは少し意味合いが違ってきます。
事業部別組織では、お客様の要求を満たし、全員で売上と利益を上げていくという共通の目的があります。それぞれ個人の業務担当は、企画や開発や営業などと違っても、お互いがやるべきことをやって全員で事業を作り上げていくという方向に向かいます。つまり、やってることが違えども、仲間同士互いに励ましあって向上するということが可能です。
一方、職能別組織はどうでしょうか。職能別組織間の切磋琢磨というのはなかなか起こりにくいのですが、職能組織内の切磋琢磨は起こりやすいのではないでしょうか。その職能に関する問題が起きれば、その職能組織内で解決をするしかありません。また、企業間の競争になった場合、商品やサービスのどこかの部分で勝敗がつくわけですが、その部分が自分の職能の部分であると本気度がかなり違ってきます。買った時の嬉しさは格別ですし、負けた時の悔しさも尋常ではありません。
このように、切磋琢磨というのはどちらの組織でも起こりますが、ライバル企業が明確な場合は職能別組織の方が強く起きるかもしれません。

次回に続きます。

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