事業部別組織と職能別組織(製品別/地域別組織と機能別組織)④

前回に引き続き、事業部別組織と職能別組織のメリットとデメリットを検討していきます。項目は、順不同です。

・意思決定

事業部別組織と職能別組織、どちらが意思決定が早いのでしょうか。時と場面に依るので難しいのですけれども、職能別組織の方が早いことが多いのでは思います。事業部別組織は、お客様から様々な要求がありますし色々なしがらみをかかえながら動く必要があると思います。一方、職能別組織は職能ごとに専門性が高いのですが、それ以外のしがらみが少なくなっています。ですから、職能別組織の方が意思を決定することは早いと思います。

・長期計画

長期計画を立てるには、事業部別組織よりも職能別組織の方が有利であると思います。事業部別組織では、事業の販売や利益を上げることが優先されます。時に最近は短期的な経営成果を求められるため、単年どころが四半期ごとの販売や利益もチェックされ、また、それが株価に影響することもあります。従って、事業部別組織では、長期計画を立案することは難しくなります。
一方、職能別組織は、やる範囲がある程度決まっていること、お客様に直接触れる組織が少ないこと、そして、専門性が高いために、他部署からは活動の詳細が見えにくい状況にあります。そのため、短期的な成果を追われることが比較的少なくなります。その結果、職能それぞれの長期計画を立てる余裕が多くなります。

・責任/責任感

組織長、あるいは組織の責任/責任感については、事業部別組織と職能別組織のどちらの方が強いでしょうか。事業部別組織では、お客様やビジネス環境の変化など多様なことに対応せねばなりません。対応すべきことには、予想できるものもあれば誰もが予想できないものもあります。このような、誰も予想できないものを組織長や組織の責任とするのは酷な話です。事業部別組織は限られたリソースであらゆることに対応する必要があるため、責任/責任感という意味では少し甘くなってしまう傾向にあります。
一方、職能別組織では、それぞれの組織長と組織はその職能のプロです。しかもそのプロばかりが集まっている組織であり、他の組織にはその職能の人はいません。つまり、その職能の担当業務で問題があった時は、その職能組織で解決するしか無いわけです。ですから、当然、組織長や組織の責任感は高くなりますし、責任をとってもらわねばなりません。また、お客様やビジネス環境の変化があった時でも、プロ集団ですから当然それに合わせた解決をすることを期待されます。
事業部別組織が、同じ事業を行っているライバル企業にトータルで勝つことを求められているとしたら、職能別組織は、何が起こってもその職能に関する事はライバル企業に勝たねばなりません。トータルで勝つには負けてよい部分もありますが、職能で勝つにはそれ以外に逃げ道はありません。それだけ、職能別組織は厳しく逃げ道も少ないので、責任は重くなります。

次回に続きます。