前回の記事で、現在は企業が大きくなっていく時代であり、そこにある多くの組織が、どうやって協調していくか、どのように効率化していくか、どのようにフレキシブルに変化していくか、良い意味でどのように競争していくか、そして、最後は企業の目標をどのように達成していくかが重要であることを述べました。そのためには、組織構成をどうするかは重要です。そこで、今回の記事からは、企業の組織構成をどのようにすれば良いかを考えていきます。
・事業部別組織(製品別組織、地域別組織)
大企業の組織は、一般的には、大きく2つあります。1つは、縦割りと呼ばれる、事業部別組織、製品別組織、地域別組織などです。これは、業務プロセスの最初から最後までを一つの組織で見るものです。例えば、電気製品を製造・販売する場合、一つの製品を、企画、開発、製造、販売、サービス、などを一つの事業部という組織でみます。ただ、全製品を最初から最後まで一つの組織で見るのは大変なので、携帯電話事業部、テレビ事業部、といった製品で分けたり、日本事業部、アメリカ事業部、中国事業部、といったように地域ごとに分けたりします。
・職能別組織(機能別組織)
もうひとつの組織は横割にすること、すなわち、企画部、開発部、製造部、といったような職能、あるいは、機能ごとに組織を構成する方法です。このような組織構成では、企画部が全ての製品の規格を行い、開発部が全ての製品の技術開発を行い、製造部が全ての製品の開発を行う、といったような、それぞれの職能や機能が全ての製品やサービスの関連業務を担当するというものです。それぞれを専門部隊が行うことにより、レベルの高い業務が出来るという発想です。
・マトリックス組織(複合型組織)
先に挙げた2つの組織構成にはメリットはもちろん、デメリットもあります。後述しますが、どちらの組織構成も甲乙つけがたいものがあります。あちらを立てればこちらが立たずということで、経営者・責任者の頭を悩ませることになります。その2つのメリット・デメリットを解消するために生まれた発想が、マトリックス組織です。例えば、組織は事業部別で構成されているが、同じ職能であれば、その職能はプロジェクト形式で協働しながら業務をしたり、あるいは、組織のこの部分は事業部別組織、この部分は職能別組織といったように、メリットが多くなるように組織によって使い分けることもあります。
多くの企業では、事業部別組織か職能別組織のどちらかでやり切っているところは少なく、多少なりともマトリックス組織(複合型組織)となっています。ですが、やはり考え方としては、事業部別組織か職能別組織のどちらを優先するかを決めておかないと、現場は混乱してしまいます。そこで、次の記事からは、項目ごとに、事業部別組織と職能別組織のメリット・デメリットを考えていきます。