相次ぐ企業の不正/不良(品質)②/2

前回に記事に引き続き、品質に関する企業の不正がなぜこんなに発生しているのか、それについて推測していきます。

〇検査の意味を理解せず
品質を守るための検査項目は沢山あります。それには、理論的に必要なものもあれば、理論的には分かっていないけれども経験上その検査をしないと不良がでるものなど、様々なものがあります。ですから、理論的ではない検査項目があるとしても、それを安易に排除することは危険です。検査は時間がかかりますから、製品や部材を出荷するには検査時間を短くしたくなるものです。そのために、過去の経緯などをよく調べずに、検査項目などを安易に削除すると品質が保てなくなります。

〇前から行われている
品質を守るための検査やルールがあるにもかかわらず、自分がその職に就いた時には、その時点ですでにその検査やルールが守られていないことがあります。しかし、自分の先輩たちがずっと守っていなかった検査やルールについて、自分がそれに気づいたからといって急にそれを復活させるのは、大変な苦労があります。なぜなら、その検査やルールを守らなくても、その職場はうまくやってこれたわけですから、無理強いすると自分が職場で浮いてしまうかもしれません。よって、これを正しい方法に戻すことはなかなかできません。不正が続くことになります。

〇組織ぐるみでやる
不正を自分の上司や周りが結託して組織ぐるみでやろうとするなら、それを自分だけ反対するというのは難しいでしょう。特に、その職場で働き続けないといけない経済的理由などがあれば尚更です。自分だけが正当な意見を言うというのも場合によっては難しいものです。

〇正しいやりかたに戻すのが難しい(しくみ)
不正に気付き、正しいやり方に戻そうとしても、装置が必要、ルールが必要、新しい業務を行う部署が必要、などとなると、なかなか正しいやり方を実行するのは難しくなります。現状からやり方を変更するというのは、例えば大きな企業であるほど難しいことであり、労力と時間がかかってしまいます。

〇以前より不正の告発が容易
以前は、不正が行われていたとしても、それを告発する手段が難しかったですし、例えばマスコミが取り上げるかどうかというのも不明でした。ところが、最近は、ネットも発達して誰でも情報発信できるようになりましたし、写真や動画をアップして世界に証拠を発信することも容易になりました。また、企業の不正に皆が敏感になっているので、マスコミも取り上げやすくなっています。このように、不正の告発・発覚が容易なのも、目につく要因でしょう。

〇愛社心・帰属性が低い
昔は、一度就職したら、その会社に定年まで居るのが美しいとされていました。ですが、最近は労働力不足というのもあり、簡単に転職する人が増えています。つまり、愛社心や帰属性が低いために、自分の会社を何とか良くしようというよりは、不正をしている会社は告発するだけして、あとはそのまま見放して辞めてしまうということも多くなりました。これが、不正の発覚回数を増やしていると思います。

以上、2回に渡って、品質に関する企業の不正が多くなっている理由を推測しました。最近は、不正発覚が増えていますので、これを日本のモノ作りはしっかりと自覚し、そういうことを起こさないようにしてJAPANブランドを復活して欲しいと思います。