最近のニュースを見ていると、企業の不正というのが目につきます。特に、原材料メーカーの不正検査、部品メーカーの性能データ改ざん、建築会社の建築基準法違反、などの品質に関するものが目立ちます。不正融資、談合、パワハラなどの不祥事は以前からありましたが、品質に関するものはあまりありませんでした。それもそのはず、日本は長らくモノづくり立国をしており、品質の良さでJAPANブランドを確立してきました。先進技術のアメリカ、安い生産能力の中国に対して、品質の良さが海外で支持されていました。工業製品、医薬品など、今でも中国人が日本に爆買いしに来るのも、こういうことの理由によります。
しかしながら、これだけ品質に関する不正が目立ちますと、日本の品質が良いというJAPANブランドも揺るぎかねません。そこで、今回は、品質に関する企業の不正がなぜこんなに発生しているのか、それについて推測していきたいと思います。
〇納期に影響する
最近の企業の競争は激しく、また、製品ライフサイクルの切り替わりスピードも早くなっています。そのため、製品、あるいは製品に使う部材は、要求された時期にきっちりと製造して納める必要があります。これを怠ると、販売機会を損失したり、あるいは、ペナルティを受けたりします。ですから、納期を守るというのは以前より厳しくなっています。こんな時、品質に問題があって、納期が遅れるというのは言いにくい状況です。この、納期が厳しくなっているのが、品質を軽視する要因の一つになっていると思われます。
〇設備が古い
製品や部品を製造するラインやセルは、製品や部品が新しくなると、それに応じて新しくなることがしばしばあります。また、生産性を上げたりする場合に、新しくなります。ところが、検査設備というのは新しくなりにくい傾向があります。もともと汎用的な設備なので頻繁に買い替えるものではありませんし、高精度な検査設備は非常に高価ですから気軽には買い替えることもできません。そうなってくると、製造ラインが新しくなって短時間に製品や部品が沢山生産されるようになっても、検査設備の能力は変わらないので検査が疎かになってくることもあるでしょう。このように、検査設備の能力が低いために検査を十分に出来ないといったことも起こりえるでしょう。
〇人手が足りない
今の日本は、働き手が不足しています。工場などでは、海外の方の力を借りていることもあるでしょう。一方、高精度な検査であれば、検査員を時間をかけて要請しないといけない場合があります。このように、検査員の要請に時間がかかるにもかかわらず働き手が足りないというのは厳しい状況です。また、検査員を確保できたとしても、不良品が発生して新たに良品を作るとなると、工員も必要です。このように、人手が足りないというのは、品質が保てない要因になりえます。
次回に続きます。