前回の記事で、会社というのは、組織を作る人と作られた組織に組み込まれてそこで働く人に分かれるということを書きました。そして、前者は一握りの人であり、そこに参画できるのはとても少ないのですが、組織を作る人ってどんな人?どうしたらなれる?というのを考えてみます。
〇経営者の方針と問題意識を理解している
組織は、経営者がやりたいことを実現するために構成します。また、経営者が問題と思っていることを解決するために構成します。そのためには、経営者の方針と問題意識を理解していないと、組織を設計することはできません。もちろん、組織は経営者のやりたいことだけを実現するために設計すると、その組織に組み込まれた人は、やりにくかったり息苦しくなったりする場合があるので、多くの人がそこでやっていけるように配慮して設計する必要があります。しかし、それは第一目的ではありません。第一目的は、あくまでも経営者のやりたいことを実現するためのものであることを忘れてはいけません。
〇現在の組織の実態と問題と課題を正しく把握している
組織は人によって実現されるものですから、理想だけを追い求めて設計しても、そこで人が思う通りに動くわけではありません。そのためには、現実を良く知っておくことも大切です。いまの組織の実態を正しく把握し、そこで起こっている問題点を解決するにはどのような課題を解決すれば良いのか。その課題を解決するための最適な新しい組織は何なのか。このようなアプローチが、単に机上の理想に終わらないリアルに課題を解決できる組織を設計する可能性が高くなるのです。もちろん、現実ばかり見ていては改革はできません。しかし、現実を知ってこそ、理想に向かうステップを考えることができるのです。
〇ステップ・バイ・ステップを作れる
殆んどの場合、理想と現実はかけ離れています。組織についても同じです。理想の組織には、それぞれの部署の役割が定義されていて、部署間のルールも明確で、業務フローも決まっています。そして、部門長からメンバーまで最適の人が配置されています。
こういった理想の組織と現実はかけ離れていることがほとんどです。現実の不十分な、役割、ルール、業務フロー、人材などについては、仕事をしながら一つずつステップアップしていくことが必要です。組織体制だけが理想であっても、実務がついてこないからです。ですから、現実の実力にあった組織からスタートし、役割、ルール、業務フロー、人材などの徐々にレベルアップしながら、組織と現実をステップ・バイ・ステップでレベルアップして理想に近づけていくということが必要です。特に、いま動いている実務に悪影響を与えずに組織を設計する際には、ステップ・バイ・ステップが重要です。皆がついてこれるかどうかわからない理想を夢見た組織は、危なっかしくて経営者や上司は承認することができません。
次回に続きます。